トップページ 特集 半田健人、自宅で作った“歌謡曲宇宙”

歌謡曲リミテッド スペシャルインタビュー

半田健人、自宅で作った“歌謡曲宇宙”

取材・文/久保田泰平 公開日:2017年12月1日

歌謡曲に対する並ならぬ知識と情熱をただただコレクションとして積み上げていくだけではなく、コンポーザー/パフォーマーとしてエンターテインさせてきた半田健人。そんな彼が、昨年秋のメジャー・デビュー・シングル「十年ロマンス/美しいままで」から一年の時を経て、ようやくアルバム『HOMEMADE』を届けてくれた。そのタイトル通りホームメイド=宅録によって編まれた本作は、歌唱、演奏はもちろんのこと、1曲のカヴァーを除いてすべて自身の作詞、作曲、編曲による“ひとり多重録音盤”で、キース・ジャレット、ムッシュかまやつ、ポール・マッカートニー、トッド・ラングレンといった才人たちが成し遂げてきた歴史に新たな1ページを加える……と言ったらさすがに大袈裟かも知れないが、ミュージシャン・半田健人のなかの“歌謡曲宇宙”、そのスケールがとんでもないことを確実に思い知らされるアルバムだ。

僕のプロフィール的なアルバム

──歌謡曲への造詣が深い半田さんですけど、音楽の原体験は90年代中期~後期にかけてのJ-POPだそうですね。世代からすれば当然と言えば当然なのでしょうけど。

半田:そうですね。音楽を真剣に聴き始めた時期が小6から中学に上がる頃(96~97年頃)なので、ちょうどそのあたりで。それが、2000年代に入ると趣味嗜好が変わるんです。60年代や70年代のマニアックな復刻CDがたくさん出てまして、こんなものが聴けるんだ!っていう感じで興味を持つようになったんです。高校生の頃にはそういうのが格好の楽しみというか、その頃には新譜にまったく手を出さなくなっていて。

──そういえば、主演された「仮面ライダー555」(2003~2004年)の公式サイトに〈レコード収集(1960~70年代歌謡曲)〉が趣味と書いてあるのを当時見て、〈史上最年少のイケメンライダー〉ということ以上に興味深かったです(笑)。

半田:「555」は東映の練馬スタジオを拠点に、郊外でロケすることが多くて、移動が本当に多かったんですね。埼玉の山奥とか横浜とか、クルマで片道2時間とか3時間っていうのが毎日のようにあって。そうすると移動中の暇つぶしに音楽を聴くわけですが、そのときに結構吸収しました。当時は新宿のほうに住んでいて、僕の地元(兵庫県芦屋市)の10倍ぐらい在庫があるTSUTAYAで片っ端から借りて、当時はMDでしたが、それに録音して持ち歩いていました。移動中はそれを聴くのが楽しみでね。若いから、眠くならないんですよ。いまだったら寝ちゃって、「もう着きました?」みたいな感じなんですけど、撮影でクタクタになってもロケバスに乗ると元気になっちゃうみたいな、そんな十代でしたから(笑)。

──「555」が終わったあと、歌手活動にも精を出していった半田さんですけど、去年の秋に出したシングル「十年ロマンス」がメジャー・デビュー盤だったというのにちょっと驚きまして。メジャーでのリリースということでは、2006年に渚ようこさんとの「かっこいいブーガルー」(テイチクからリリース)がありましたが。

半田:そう、そのあとCDはほとんど出してなかったですし、なにげにソロではメジャー・デビューしてなかったっていうね(笑)。

──半田さんの音楽への情熱や執着が並ならぬものだということが感じられます。

半田:自分が曲を作る目的としては、まずは音楽が好きなこと、これを越えるものが今のところなくて。金にしてみようとか、儲かるからやろうとか、そういうのではなくて、本当に音楽をこよなく愛している。僕は24時間どのタイミングでも曲を書き留めるほうなんですけど、まず、レコードやCDを聴いた時に、瞬発的にハマるんですよ。ハマって卒業、ハマって卒業を繰り返してくんですけど、ハマった時に、そこから自分なりのものを作りたいっていう欲求が生まれるんですね。ハマったアーティストの“それっぽいもの”を作るっていうのが自分のやりかたで、それは昔っから変わってないですね。

──それで作ってみたら、おのずと自分らしいものが出来上がっていくと。

半田:そうなんです。結局、同じものは出来なくて、自分ではまんまパクリじゃないかってぐらいの感覚で作ってみても、実際に披露してみたらまったく違う反応が返ってきたりとか……っていうのが発見になったりしますね。そう聞こえる? ああ、確かにそうかも、って。

──俳優やタレントとして活躍されていますから、音楽が本業ではないところでピュアさが保たれているところもあるんでしょうか。

半田:そうかもしれない。ただ、こうやってメジャーで好きなものを出させてもらえるのは、良いメーカーとディレクターの巡り合わせだと思っています。別の会社、別のディレクターだったとしたら、どういう音楽をやっていたか、もしくは、やらされていたかはわからない、ってことは言えるんです。今回のディレクターが川口(法博)さんだったから、自分が日常から積み上げてきたものを形にして出すということを推していただけたっていう。

──さて、そんななかで完成した『HOMEMADE』ですが、ものすごく欲張った内容と言いますか、コンポーザーとしての半田さんの狂気すら感じるアルバムですね。歌謡曲のある部分のムードに寄ったものでもなく、歌謡曲全体の縮図を見るような楽曲群が半田さんひとりの脳から生み出されていることにまず感動を覚えます。

半田:アルバムを本に喩えるとするならば、前回出した『せんちめんたる』(2014年)というアルバムは、まえがきからあとがきまである長編小説みたいなところがありましたが、『HOMEMADE』は短編小説集みたいなところがあって。その章ごとに主人公も違えば設定も違う、なんなら文体も違う。ただ、作者はひとりで書いているんだっていうような、そういう感じですね。

──『HOMEMADE』ということで、すべてご自身による宅録ということですが、先日の発売記念イヴェント(11月1日@Gibson Brands Showroom TOKYO)でお話されてましたが、DAWを駆使して組み上げていったものではないんですよね。

半田:そう。デジタルのなかでも古い機材を使っています。DAWのように波形を見ながらやっていくのではなく、耳を頼りに……っていう行為自体はすごくアナログで。僕のなかでのデジタルの解釈っていうのは、あくまでも人間のお手伝いだと思っているんですけど、ある時点から人間の能力を越えたことをデジタルができるようになってしまいましたよね。音で言えば、人間の耳には聞こえないものまで波形で見えちゃうわけじゃないですか。聞こえてないけど波形に出ているからここはカットしようとか、そういう世界になるわけで、それって果たしてどうなんだろうか? という偏屈な思いがありまして。アナログレコーダーだとトラック数が限られたりとか、途中から音を差し込むのが難しかったりとか、そういうことを解消できる意味でデジタルは良いなと思うんですけど、それ以上はもういいかなっていうか。

──魂の入り方が違うかもしれませんしね。

半田:だから、僕の曲を聴いてもらうと、音質がバラバラなんですよ。それはあえてというよりかは、プリセットを使ってやっていないので。プリセットでやればバランスよくイイ音で録れると思うんですけど、曲ごとにゼロから立ち上げなので、その日の体調だとかにも左右されてね。ずっと音を聴いていると耳が死んでいきますから、そういうコンディションで録っちゃって、やり直しせずにもうこのまんまにしておこうみたいな、それがすごくうまくいったものもありますね。

──結果、非常に退屈しない作品になりました。

半田:そう言ってもらうのがいちばんの目的でした。僕もリスナーとしてかなりの枚数を聴いているんですが、アルバムってやっぱりB面というか後半がダレることが多い。頭の5曲ぐらいは何聴いても楽しいんですけど、そこからいかに集中力を持続させて“つい聴いちゃうもの”にするかっていう、結構ユーザー目線で決めました。地味なものは前半にみたいなね(笑)。途中、立て続けにアップテンポのものを続けたり、曲間も短くして無音の部分を少なくしたりっていう心理戦をしています。

──とにかくいろんな曲があって、歌謡曲のメロウな部分に寄っている『せんちめんたる』とはまた違って、こういう引き出しもあったのかっていう、予想はしていたけどそれ以上のものをぶち込んできた感じですね。どこをとってもトピックと言ってもよいかと思いますが、やはり「仮面ライダー555」の主題歌「Justiφ’s」のカヴァーに目が行きます。曲順としては最後のほうなので、あとから訊こうかと思いましたが、先にこの曲の話を。発売記念イヴェントの時にもお話されていましたが、これは作家の佐藤和豊さんが書かれた当初のイメージに近いアレンジになっていると。

半田:佐藤さんはこの曲をギターで作ったそうなんですけど、オリジナルの「Justiφ’s」っていのはサビに入る前に三度上がっている、転調しているんですね。ゆえに出だしは低く、サビは高くっていう音域の広いものになっていて、オリジナル通りに転調を入れようかなと思ったんですけど、どうもこう、歌謡曲アレンジにしてしまった手前、ああいう三度の転調っていうのが似合わなくて。

──TV版は、歌謡曲のマナーからすればかなりトリッキーな展開ですもんね。

半田:そうなんです。そこを転調させないことで、佐藤さんがどう思うか気になったところなんですけど、実際、佐藤さんに伺ってみたら、作った時点では転調していなかったと。テンポも、このぐらいだったそうですよ。ただまあ、ヒーローもののオープニングっていうことで尺も決まっていますから、テンポも逆算してタイトなものにする必要があるし、アグレッシヴなアレンジになると。まあ、そういう話を佐藤さんから伺った時に、自分の勘も伊達じゃないと思いました(笑)。

──さて、改めて1曲目から。「赤羽一番街の殺人」はエレキインストという意表を突いたオープニングになりました。

半田:1曲目にインストって、タイプとしては古くさいですよね(笑)。

──タイトルを見てベンチャーズを思い起こさせますが。

半田:と思うじゃないですか。でも、僕はベンチャーズ好きじゃないんですよ。

──(笑)。

半田:ベンチャーズは悪くないんです。敵を作るような言い方になってしまいますけど、ベンチャーズを好きな人が苦手(笑)。モズライトのギターもそう。モズライトはフェンダーやレスポールを越える素晴らしいギターだと思いますが、使っている人がオジサンくさいんですよ。

──当時は買えなくて、歳を取ってから買えたっていう人も多いでしょうし。

半田:確かに。でもまあ、僕のなかでエレキインストとかエレキ歌謡っていうのは、昭和歌謡とか日本の音楽を分類したときに、外せないカテゴリーのひとつではあるんです。で、それにすごくイレ込んだかっていうとそうではないんですけど、この「赤羽一番街の殺人」っていう曲は、こういう曲を作りたいっていうよりも、自分でギターを弾く曲を作りたかったんです。ちょうどね、オークションでいいギターを買ったんですよ。それを使いたかったっていうだけで作った曲で(笑)。

──なるほど(笑)。そういえば、実際に聴いてみると、メロディの風合いにベンチャーズの影は見えないですね。

半田:そう、ベンチャーズには絶対ないニュアンスですよね。ベンチャーズ的な奏法はするけど、反骨心としてベンチャーズはやりたくなかったんです(笑)。で、その昔にシンガポールにザ・スタイラーズというバンドがいまして、それはまあアジアのベンチャーズみたいなところで、巧いんですけど、メロディが中華的なんですよ、残念ながら(笑)。でも、当時世界的なエレキブームが起こっていたっていう事実がおもしろいなって頭のなかに残っていたので、じゃあ、スタイラーズっぽいものにしようって。スタイラーズとベンチャーズ奏法、あとは昭和のテレビやラジオ番組のオープニング感を出すためにコーラスを入れようと。あと、ここで弾いているエレキベースは江藤勲さんから譲っていただいたものなんです。「ブルー・ライト・ヨコハマ」とか「喝采」と同じベースで録音されてるんです。弾き方なんかも研究して、江藤さんと同じ音を出しているつもりなんですけど、そこはちょっと確認してみてください。

──「赤羽一番街の殺人」に続いては、リズミカルな演歌とでも言えるような「裁かれる者たちへ」。歌い方も演歌調でありながらちょっとコミカルで、半田さんのタダモノではない感じがすでに2曲目で痛感します。

半田:これまでにもいろんなところでお話してきたことなんですけど、自分が聴いてきた音楽のなかで“歌謡曲”の絶対数が多いので、引き出しがそこなんですよね。だから、歌謡曲を作っているっていう意識がなくて、自分が聴いてきた音楽から影響を受けて勉強させてもらったものを出しているっていうだけなんです。本当の歌謡曲は職業作家の方が力を合わせて作るものだと思うから、全部自分でやっている時点でその定義からは大きく外れて、おのずと自分らしいものができているんだと思います。

──その次の「江ノ島電車」も素晴らしく、フォークソング風情のメロディではあるんですけど、嫌味にならない程度のエレガントなアレンジになっているという、さじ加減が絶妙ですよね。歌謡曲に影響を受けている作家さんやアーティストはたくさんいるかと思うんですけど、こういうタイプの曲は半田健人しか作らない、いや、作れない歌謡曲なんじゃないかと思います。

半田:わかってくれる人がいました(笑)。

──ただ、こういう曲って、濃厚なメロウ感とかグルーヴ感とか、アクの強い部分にひっかかって歌謡曲を聴き始めた人にはすぐに良さがわからない類の、いわば上級者向け歌謡とも言えます。

半田:上級者だと思います。よりによってそこつまむ? っていう意味での上級者。わかりやすさがないというか、メロディもそうですけど、なんと形容したらいいのかなっていうところはあると思うんです。でも、こういう曲って当時はすごくあったと思うんですよ。これは、都倉俊一先生がヒデとロザンナに用意したB面の曲、筒美京平先生の曲でピークを極めたあとのヒデとロザンナっていうイメージでね。デュエットでやってはいないんですけど、歌をトリプルで重ねてギルバート・オサリバンみたいな感じでやってみようかっていうのをその場のノリで考えて。この曲はすごく半田健人的だと思いますし、アルバムのなかで僕本来の色がいちばん濃い曲だと思います。

──「愛の日々」はポップス演歌的な曲ですが、タイトルが堀内孝雄さんっぽくもあり(笑)。

半田:ディレクターの川口さんもそう言っていました(笑)。僕としては近代のテイチク演歌のイメージで書いたんです。誰っていうわけではなく、テイチクやクラウンからCDが出ている、テレビにはあまり出ないような歌手のイメージ。でも、なにげに何十年もやられていて、地方に行けば確実に集客があるという(笑)。この曲はガットギターで作り始めたんですけど、いちばん最初のイメージとしてあったのは、加藤登紀子さんの「愛の暮らし」だったんです。ああいう曲を作りたいなって。

──あの曲の作家はアルフレッド・ハウゼでしたが、たしかにああいったヨーロピアンな哀愁感が「愛の日々」にはありますね。イントロのギターは現代演歌っぽいディストーションがかかっていますが(笑)。

半田:そうなんです。前に野村義男さんともお話したことがあるんですけど、「演歌のギターの音って良すぎじゃない?」って。演歌のギターって、ユニゾンでストリングスが被っていたりするから、その倍音がね、違うんですよ。歪んだエレキギターの音とストリングスがユニゾンすると、ものすごく気持ちいい。昔の歌謡曲でもたまに聴けるんです。「傷だらけのローラ」の間奏で秀樹さんが「ローラ!」って叫んでいる後ろで、水谷公生さんのリードとストリングスがユニゾンになっているんです。その美しさたるや!

──「東京タワー ~親父たちの挽歌」は、河島英五さんが歌いそうなエレジー感と言いますか、シンプルにイイ歌ですね。

半田:僕のなかで唯一洋楽の要素を挙げるとしたらカントリーなんです。カントリーは、唯一好きな洋楽のジャンル。あっ、シャンソンも好きです。で、カントリーが好きとは言っても、カントリーの作品だから聴くとかじゃなくて、いままで洋楽で「この曲は好きだな」ってものを思い返してみると、これってカントリーだよねっていうものが多かったんですよ。カントリーってコードがすごくシンプルで、だいたいC→F→Gセブンスで出来るんですけど、メロディがフィットするんですよね、自分にとって。「東京タワー ~親父たちの挽歌」もそんな感じで作った曲なんですけど、歌詞が歌詞なので、これはもっとオッサンくさいアレンジにしようってことでこういう感じにしました。“東京タワー”とか言っておきながら、やしきたかじんさんみたいな関西系大御所ミュージシャンが味を出して歌う感じで。なんかね、「大阪で生まれた女」とか、こういう雰囲気とかテンポ感は関西です。

──で、歌に出てくる主人公が不器用で格好悪い。

半田:そう、格好悪いし、垢抜けてないんですよね。僕もね、以前は大阪系のブルースっていうのはオッサンくさくてどうも苦手だったんですけど、でもまあ、ああいう歌の良さがわかってくる歳になったってことですかね。

──という「東京タワー ~親父たちの挽歌」をしみじみと聴かせたあとに、「たこ焼きホームラン」みたいなコミカルな曲が来るという(笑)。

半田:コミックソングは好きなんです。これは「がんばれ!!タブチくん!!」のマンガから影響を受けた部分が大きくて、出だしが西武ライオンズの球団歌に似ているのは、オマージュの意味で寄せました。やっぱり、西武時代の田淵幸一さんがイイんですよ。野球は詳しくないんですけど、「がんばれ!!タブチくん!!」は好きで読んでいました。

──次の「冬列車」は、野口五郎感というか私鉄沿線感というか、侘びしさ漂う哀愁歌謡ですね。

半田:野口五郎じゃなくて仲雅美なんです(笑)。こんな曲やっているからあまり売れないんだ、っていう感じを出したかった(笑)。川口さんにも言ったんです。こういう曲もらったら嫌ですよって(笑)。地味だし、どこがサビかもわかんないし、寒々しいしねえ……っていうのを作ってみたんです。これも上級者向けですね。これは自分のなかにテーマがあって、架空のドラマの主題歌という体でアウトロにセリフを被せているんですけど、歌っている声と声色をあえて変えているんです。そこ言っているのは歌手じゃなくて、そのドラマで主演した役者さんっていう設定。そういうマニアックなことをやっています(笑)。

──「西航路」は、イントロのオルガンの雰囲気だったり、リヴァービーなヴォーカル処理だったり、プロコル・ハルムの「青い影」を想起させるような曲になっていますが。

半田:さっきも言ったとおり、僕のなかに洋楽の直接的な要素はほとんどないので、歌謡曲のある曲を意識して作ったつもりが、そこに元ネタが存在していて、僕はそれ自体を知らないっていうことがよくあるんです。ある先生が洋楽のなにかを真似して作ったものをさらに真似しているのが僕(笑)。

──ということは、「西航路」におけるこの感触は、プロコル・ハルムというよりもザ・ハプニグス・フォーと言ったほうが正解なんでしょうか。

半田:これは、僕のなかでの設定が細かくて、沢田研二さんがタイガースをやりつつソロを始めた時期があったじゃないですか、69年ぐらいに。あの頃の沢田さんが、渡辺プロと縁の深い作家さんたちと一緒に作ったイメージなんですよ。作詞が安井かずみさんで、作曲が宮川泰さん、編曲はクニ河内さんっていう感じ。

──アルバムも後半、9曲目からはコミカルな楽曲が続きますね。「お鍋のロックンロール」「どすこい超特急」「箱根に一泊」……。

半田:ここは“おもしろ三連発”ですね。これがその、後半で飽きさせないための選曲なんですよ(笑)。

──このなかでは「箱根に一泊」のイントロがヒーローものの主題歌っぽいギターだったり、他の曲では聴けないアレンジになっていますね

半田:僕のなかでは80年代を嘲笑ったような、「こういう感じでしょ?」っていうイージーな音にしています(笑)。80年代って前半はまだ良かったんですけど、やがてDX-7が天下の時代になりますから、アレンジがすごく軽薄になっていくんですよ。そういうものをあえてやってみたという。この歌はギターで作ったんですけど、あっという間にできて……こういう曲があっという間にできるってどうなのかなって思うんですけど、作った時からアレンジはテンポの速い8ビートだと。で、8ビートでこの感じって言ったら、80年代解釈にしたほうがいいなってのがあって、ベースとかもチョッパーの音を入れちゃったり。まあ、ああいうのは僕のなかでは本来けしからんのですけど、でもあえてやってみたという。ちなみに《ロマンスシートに隠れて》とか歌っていますが、「十年ロマンス」のアンサーソングではないです。

──“おもしろ三連発”の次に「お茶の水シャンソン」。

半田:これはずいぶん古い曲なんです。20代前半の頃に書いたもので。

──ライナーノーツに記されていますが、都倉俊一先生の前で歌われたんですよね。

半田:そう、歌ったんですよ。「オールナイトニッポン」(2009年9月20日放送)の番組内で先生に来ていただいて、生「スター誕生」の気分を勝手に味合わせていただきました。本当のシャンソンは勉強不足でよくわからないですけど、いわゆる日本人がやる歌謡シャンソンみたいなのってこういう感じだよねっていうものを作ってみました。沢たまきさんをイメージして(笑)。

──そして「さよなら6000系」。個人的な話ですが、初めて乗った地下鉄はこれでした。

半田:やっぱりみんな想い出があるんですね。半世紀にわたって走り続けているんですけど、ついに風前の灯火ということで、編成も少なくなりましたね。最後の1編成になったら、何月何日をもって引退しますって営団(東京メトロ)がプレス発表するはずなんですけど、6000系引退の日は、たぶんオレ、テレビに映る気がするな(笑)。ホームにいそう(笑)。

──その情報、留めておきます(笑)。

半田:まあ、そんなわけなので、この曲は、6000系が走っているうちに出したかったんですよね。ここ重要ポイントです。いなくなってからのことを歌っているんだけど、この歌が歌われていた頃はまだ走っていたっていう、これは6000系に聴かせたいね(笑)。僕ね、幼稚園の頃に、東京の電車って書いていた絵が6000系だったんですよ。知っていたのがこの形で、まあ、顔が特徴的じゃないですか。で、一時期電車熱が冷めていた時期があったんですけど、「555」で東京に出てきた時に、千代田線のホームで待っていたら6000系が来て、「あっ、知ってる。この電車!」って感動して。それぐらい愛着があった車両なんですけど、その時は「まだ走ってるの?」って思いましたけどね。

──まあ、電車の曲だけに、話が少々脱線してしまいましたが……(笑)。

半田:こうやって脱線しまくっているように、このアルバムってすごく僕のプロフィール的なアルバムになっているんですよ、おそらく。僕がどういう趣味嗜好で、どういうことに興味があるのかっていうのを、あえて歌を基軸にまとめたらこうなりましたっていうものだと思いますね。ちなみに、「お鍋のロックンロール」って歌っていますけど、僕自身、鍋は作らないんです(笑)。好きですけど、ひとりじゃ食べられないものですから。お店で食べる鍋は仰々しいからあれなんで、家でやる鍋が好きなんですけど……って言ってたら、鍋食べたくなってきました(笑)。

 

【CDリリース情報】

『HOMEMADE』

発売中

11月1日(水)発売
VICL-64859 ¥2,315(税抜)

全演奏・歌唱:半田健人。全ての音楽ファンに贈る驚異の宅録歌謡曲アルバム!

<収録曲>
1. 赤羽一番街の殺人
2. 裁かれる者たちへ
3. 江ノ島電車
4. 愛の日々
5. 東京タワー 〜親父たちの挽歌〜
6. たこ焼きホームラン
7. 冬列車
8. 西航路
9. お鍋のロックンロール
10. どすこい超特急
11. 箱根に一泊
12. お茶の水シャンソン
13. さよなら6000系
14. Justiφ’s
15. 美しいままで(Demo Version)
16. 十年ロマンス(Demo Version)

半田健人

はんだ・けんと
1984年6月4日、兵庫県芦屋市生まれ。ふたご座、O型。『ジュノン・スーパーボーイ・コンテスト』のファイナリストに選ばれたことをきっかけに芸能界入り。『ごくせん』 第5話のゲスト出演でドラマデビュー。『仮面ライダー555』乾 巧(いぬい たくみ)/ 仮面ライダーファイズ役で初主演を飾る。『タモリ倶楽部』への出演を機に、高層ビル好きであることが知られるようになる。特技は高層ビルの目測高さ当て。鉄道(乗り鉄)、昭和歌謡といったジャンルへの造詣も深い。他にも、ビザールギター集め、宅録、アンパンマンなど趣味多数。毛筆五段、硬筆初段の資格を持つ。

オフィシャル・ウェブサイト
http://www.wo-gr.jp/handa-kento/
公式ツイッター
https://twitter.com/handakento

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