トップページ 特集 〈乃木坂46 生駒里奈 卒業コンサート〉レポート

歌謡曲リミテッド スペシャルレポート

〈乃木坂46 生駒里奈 卒業コンサート〉レポート

取材・文/久保田泰平 公開日:2018.05.2

いまやアイドルはグループであることがあたりまえのようになったが、そのぶん、ソロがあたりまえだった“歌謡曲時代”のアイドルたちにくらべると、歌そのもののなかで個人の生き様を感じることは難しくなっている。しかし、そんななかでも、乃木坂46というグループはちょっと特別……と、ある時期に気づいた。すべての歌詞はプロデューサーである秋元康によるものだが、ここで編まれている言葉は、その都度センターで歌うメンバーに宛てて書いているような……その感覚は、同じく秋元がプロデュースするAKBグループよりも高いと思える。グループ・アイドルにしてソロ・アイドルのよう──その趣を感じとった歌謡曲リミテッドでは、やはりこの日のステージを見届けなければならないと思った。15歳にして親元を離れ、上京。ステージを踏むごとに輝きを増していく少女──そんなサクセス・ストーリーを刻みながら乃木坂46のイメージを作り上げ、象徴となっていった生駒里奈。彼女の卒業コンサートが4月22日に日本武道館でおこなわれた。天候は晴れ。東京では日中の最高気温が28℃まで上がった日だった。

笑顔の卒業コンサート

日本武道館の正面入口には、〈乃木坂46 生駒里奈 卒業コンサート〉の大きなサインボード。乃木坂46の卒業コンサートは、今回が三度目。2016年の深川麻衣、2017年の橋本奈々未はそれぞれ〈真夏の全国ツアー2016〉〈5th YEAR BIRTHDAY LIVE〉のなかに組み込まれていたが、この日は生駒の卒業コンサート以外なにものでもなく、デビュー時からグループのキャラクターを作り上げてきた彼女の存在が如何に特別だったのかが伺える。

セットリストもやはり〈特別〉だった。いつもはライヴの最後で歌う「乃木坂の詩」から始まり、生駒のセンター曲「おいでシャンプー」「太陽ノック」……ステージ後方のヴィジョンに映像を映し出すカメラは、生駒を中心に追いかける。思えば、乃木坂46のストーリーは、ある時期まで生駒里奈のストーリーでもあった。秋田から出てきた内気で猫背の少女が、アイドルという一級のエンターテイメントのなかで磨かれ輝いていったそれは、「太陽ノック」で最後のセンターを務めたときがクライマックスだったろう(ゆえに深川や橋本のように最後のシングルでセンターをやらなかったんだと……たぶん)。あのとき、AKB48との約1年におよぶ兼任を終えて戻って来た生駒、兼任しているあいだはAKB48の持つ(乃木坂46には少し乏しかった)前のめりなアティテュードや高い熱量をグループに還元してきた生駒……。続いてソロ曲「水玉模様」を歌い終え、この日最初のMC。「こんばんわ、生駒里奈です!」──ステージには生駒ひとりだけが立つ。

三期生、二期生のパフォーマンスを挿んで、カップリング曲ながら生駒里奈最後のセンター曲となった「Against」、そして最新シングル「シンクロニシティ」。中盤では、生駒が兼任時にAKB48でパフォーマンスした楽曲──「初日」では三期生、「でもでもの涙」では同じ秋田出身の鈴木絢音、「心のプラカード」では二期生と共に歌唱。続いて、初期乃木坂46の象徴メンバーとなった“生生星(いくいぼし)”こと生駒、生田絵梨花、星野みなみによるテーブルトークがあり、そのリラックスした雰囲気のまま3人でのユニット曲「ここじゃないどこか」を微笑ましく披露した。

TVアニメ「NARUTO」のオープニングテーマにもなった「月の大きさ」を披露したあとには、ナルトから生駒へのメッセージヴォイスが流れ、作者・岸本斉史の書き下ろしによる生駒のイラストがヴィジョンに映し出される。「ありがとうございます! 一生がんばれます!……ここで泣くつもりなかったんだけど、『NARUTO』は泣いちゃうよぉ……」と生駒。一瞬、乃木坂46の生駒里奈からアニメヲタクの生駒里奈になるも、すぐに切り替えてステージ終盤へ。生田のピアノ伴奏で「君の名は希望」「悲しみの忘れ方」を歌ったあと、本編ラスト。初期乃木坂46のイメージを刷新し、生駒自身も新しいキャラクターを開花させたあの曲。「死ぬまで私の代名詞になるでしょう。そう言わせてください」と言葉を添え、「制服のマネキン」を力強くパフォーマンスして締めくくった。

2度に渡ったアンコールで、メンバーひとりひとりから一輪挿しの花を手渡された生駒。短く言葉を交わしながら涙するメンバーもいたりと、もちろん、別れの寂しさはそれを見つめるファンのなかにもあっただろうが、ステージは最初から最後まで清々しく晴れやかで、なにより笑顔の多かった卒業コンサートだった。

【公演概要】
「乃木坂46 生駒里奈 卒業コンサート」
4月22日(日) 日本武道館

<セットリスト>
M1.乃木坂の詩
M2. おいでシャンプー
M3.太陽ノック
M4. 水玉模様
M5. トキトキメキメキ
M6. スカウトマン
M7. Against
M8. シンクロニシティ
M9. 初日
M10. てもでもの涙
M11. 心のプラカード
M12. ここじゃないどこか
M13. 満月が消えた
M14. あらかじめ語られるロマンス
M15. 無口なライオン
M16. 指望遠鏡
M17. 月の大きさ
M18. ハウス!
M19. 君の名は希望
M20. 悲しみの忘れ方
M21. 制服のマネキン

EN1. 走れ!Bicycle
EN2. シャキイズム
EN3. ぐるぐるカーテン

WEN. 君の名は希望

 

『東京レコード散歩』2017年2月22日発売。東京にちなんだ曲だけを収録したコンピレーション・アルバム『東京レコード散歩』第二弾がレコード会社3社から同時発売!

ラジオ歌謡選抜

CDJournal

TWITTER

  • now loading...

disk union 昭和歌謡館