歌謡曲リミテッド スペシャルインタビュー
町あかり インタビュー
キャリア初のバンドサウンドによるアルバム完成!
取材・文/長井英治 公開日:2018.06.26
2015年6月にアルバム「ア、町あかり」で衝撃のデビューを果たした町あかり。「もぐらたたき」のヒットのほか、着実にキャリアをステップアップさせている彼女の4枚目のオリジナル・アルバム「収穫祭!」が、7月4日に発売される。前作のアルバム「EXPO町あかり」では、収録曲のほとんどのアレンジを町あかり自身が手掛けたが、今作は謎の実力派バンド、池尻ジャンクションの演奏による、初のバンドサウンドになっている。
「おかげさまでいい曲が収穫できました」という感謝
――5月25日に行われた「ライブ歌謡選抜vol.4」では、2016年に発売されたアルバム「あかりの恩返し」を全曲歌うというコーナーがありましたね。
町:特に深い理由はないんですけど(笑)。何となく歌ってみたくなったので、歌ってみましたという感じです。
――「あかりの恩返し」は「もし町さんが、このアーティストに提供したら…」という架空の提供曲アルバムですよね。
町:勝手に。頼まれてないけど(笑)、想像して書いたらこうなりましたという作品集的なアルバムです。
――個人的には「カラフルあげます」「メモリーズメゾン」がお気に入りです。でも一番好きなのは、やはりレコードでも発売された「最高のセットリスト」です。
町:大好きな岩崎宏美さんに提供したら……という曲です。私も大好きな1曲で、宏美さんの初期のディスコサウンドあたりをイメージして書いた曲です。
――以前、インタビューさせていただいた時にすごく驚いたんですけど、岩崎宏美さんの「未来」という曲を、町さんは自分のお葬式で流したいという(笑)。
町:「未来」ってお葬式にぴったりだと思いませんか?(笑)。この曲すごく好きなので、絶対にかけて欲しいです。
――話は変わりますが、町さんのコンサートの定番曲「もぐらたたきのような人」が、何と電気グルーヴの石野卓球さんのREMIXで10インチのレコードで発売されるそうですね。(「もぐらたたきのような人 2018」町あかり&石野卓球)
町:私はボーカルを録り直したくらいで、あとは卓球さんにお任せという感じでしたけど。レコードは7月18日発売なんですが、A面に収録されたバージョンはすでに配信されていますので、是非チェックして下さい。7(なな)インチと12(じゅうに)インチって日本語読みの数字なのに、10インチは(とおインチ)と読むんだと、この間初めて知りました。なんで10だけ(とお)なんだろ?(笑)。
――レコードの方はすでに予約が相当埋まってるとの噂ですが。町さんって、2014年に電気グルーヴの25周年記念ライブにオープニングアクトとして出演していたんですね。
町:最初はこれ誰?って感じだったんですけど、電気のファンのみなさんってすごくユニークな感性の方が多いので、歌っているうちに「わはは!」っていう感じになって温かく受け入れていただいた感じです。オープニングアクトなのに、20分も時間をいただいたので、5曲くらい歌わせていただいて、すごく楽しかったです。
――昨年発売されたアルバム「EXPO 町あかり」はミュージックマガジン「J-POP/歌謡曲」部門の4位でしたけど、すっかり常連ですね。やはり嬉しいもんでしょうか。ミュージックマガジンで1位を獲得した半田健人さんは、ご一緒したイベントで「オリコンで1位を獲るより嬉しいかも」とおしゃってましたよ。
町:あ!それすごく解る気がします(笑)。「ミュージックマガジンで知って、CDを聴いてライブに来ました」と言って、実際にライブに来て下さる方もいらっしゃるんです。そういうのが一番嬉しいですよね、やっぱり。
――さて、町さん。早くもメジャーからの4枚目のアルバム「収穫祭!」が発売になりますね。今回はタイトルに「町あかり」「あかり」というワードが入っていないんですね。
町:スタッフから、今回は入れなくてよくない?と言われたので(笑)。特にこだわりの点ではなかったので、このタイトルになりました。このアルバムは、映画作品に提供した曲や、他の歌手に提供した曲のセルフカヴァーが収録されているんですが、レコーディングをしてみて改めて、もしこの曲を提供しなかったら絶対に生まれなかった曲ばかりだな、と思いまして。町あかり用に書いたら絶対にこういう曲にはならないので、おかげさまでいい曲が収穫できました!(笑)という、感謝の気持ちを込めて「収穫祭!」というタイトルになりました。
――今回のアルバムは「町あかり&池尻ジャンクション」という名義なんですが、初のバンドサウンドですよね。池尻ジャンクションというのは一体何者なんでしょうか。
町:私はたまに、ガールズバンドを従えてライブをやっているんですが、そちらは元気をテーマにやっているので、もう少し繊細なサウンドのバンドでライブがやりたいなと思いまして、池尻大橋にあるメーザーハウスという音楽学校の扉をいきなり叩いて、「こういうイメージの音が出せるバンドはいないでしょうか?」とお願いして結成されたバンドなんです。
――普通は業界のツテを辿ったりするもんですけど、そうでないところが町さんっぽいですよね(笑)。しかし、このバンドとてもテクニシャンというか、いい演奏しますよね。
町:「町あかりと申しますが……」から始まって(笑)。でも結果、メーザーハウスのスタッフの方が、私の音楽に興味を持って下さって、とても面白がって下さったので、このアルバムを制作することが出来ました。
――アルバム「収穫祭!」の1曲目には、ギャランティーク和恵さんに提供した「夜に起きるパトロン」が収録されていますね。
町:この曲は、「歌謡選抜フェスティバル」に共演させていただいた時に、ギャランティーク和恵さんのために書き下した曲なんです。
――和恵さんも、この曲すごく気に入っているとおしゃってました。
町:ホントですか。それは超嬉しいです。この曲は和恵さんの夜の女のイメージで、けだるくて色っぽい雰囲気で曲を書いてみました。すぐに出来上がった曲でしたね。
――今回のアルバムには何と12曲中8曲も提供曲が収録されていますけど、姫乃たまさんに提供した「バーヨコハマ」も収録されていますね。これはプロデュースだったんですか。
町:たまちゃんのアルバム「もしもし、今日はどうだった」というアルバムに曲を全曲書き下して、半分くらい詞も書きました。でも、プロデュースというと何か偉そうで嫌です(笑)。
――ここまで提供曲が多いと、中島みゆきさんの提供曲のカヴァーアルバムみたいでいいじゃないですか?
町:尾崎亜美さんの「POINTS」シリーズみたいな感じですかね(笑)。
――先日のイベントでは、ピアノの演奏のみで歌って下さった「激辛デスソースの人生」ですが、タイトルだけ見ると、なんだかパンクみたいに思えますが、すごく綺麗な旋律のバラードなんですよね。しかも、町さんの曲には珍しい、人生の応援歌のように響いてきます。
町:これは美広まりなちゃんという、182センチくらい身長のある、元男の子の歌手の方に提供した曲なんですけど、彼女が活動で悩んでいた時期に、彼女への応援歌みたいな気持ちで書いたんです。だからまりなちゃんが居なかったら、絶対に出来なかった曲ですね。
――ちあきなおみ的歌謡曲「電球を替えてくれた人」や、シアトリカルな雰囲気の「大丈夫よ」は提供曲じゃないので、このアルバムのための書下ろしですか。
町:これは両方とも、とあるコンペのために書いた曲なので、アルバムのためにという事ではないです。自分の為の曲だったら「電球を替えてくれた人」なんて、絶対に書かないですよ(笑)。
――さて、町さん。ニューアルバム「収穫祭!」の発売を記念してライブも行われますね。
町:今回4か所でリリース・ライブ・サーキットが行われます。すでにHPでは発表されているんですが、全部セットリストが違うんです。だから、歌詞を覚えるのが大変かもしれません(笑)。すでに曲順も発表になってますので、是非遊びに来てくださいね。
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【CDリリース情報】 『収穫祭』 7月4日発売 ★ライブでのバックバンド「池尻ジャンクション」を従えてバンドサウンドで贈る町あかりニューアルバム完成!ラグジュアリー歌謡「夜に起きるパトロン」、スティービー・ワンダー的ファンク「ナンタラカンタラっていう人」、ちあきなおみ的歌謡「電球を替えてくれた人」、ピアノと歌の一発録りによる上質なシャンソン「大丈夫よ」、胸に沁みるバラード「激辛デスソースの人生」など、予想の斜め上から来る名曲の数々を全12曲収録。 <収録全12曲(作詞作曲/町あかり(M5のみ作詞・姫乃たま)> |
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町あかり
シンガーソングライター。作詞作曲、編曲、衣装、イラスト等、全て自身で制作。
東京都出身、1991年5月28日生まれ。2010年から東京都、神奈川県を中心にライブ活動中。
2015年6月、ビクターエンタテインメントからメジャー1stアルバム「ア、町あかり」をリリース。2018年7月、4thアルバム「収穫祭!」をリリース。他の歌手への楽曲提供もおこなう。