トップページ 特集 レコード会社設立、社長就任!心機一転で新基軸を打ち出す星野みちる

歌謡曲リミテッド スペシャルインタビュー

レコード会社設立、社長就任!
心機一転で新基軸を打ち出す星野みちる

取材・文/竹部吉晃 公開日:2019年3月15日

ソロデビュー以来、持ち前のポップセンスと様々なアーティストとのコラボレーションで良質なポップミュージックを送り続けてきた星野みちるが、自身のレコード会社を設立し、その社長の座に就いた。「よいレコード會社」第一弾となるリリースは4曲入りのミニアルバム「逆光」で、タイトル曲は作曲とピアノ伴奏を自身が手がけた新基軸。ピアノと弦楽だけのシンプルなアレンジが印象的なバラードだ。そのほかの曲もいままでのポップ路線とは一線を画する、シンガー・ソングライター色を全面に打ち出したものになった。新しい第一歩を踏み出す彼女に現在の心境を聞いた。


1人で始めたので、

最後にまた1人でやってみようって思った。

 

――この度は、新レーベル立ち上げおめでとうございます。

星野:ありがとうございます。

――あわせて社長就任もおめでとうございます。社長という響きはいかがですか。

星野:なかなか良いです(笑)。どこに行っても「よっ、社長!」みたいにイジってもらえますし。社長の肩書の入った名刺ステッカーも作りました。

――面白いグッズですね。アーティストが名刺を持つのも珍しいですね。

星野:名刺ステッカーと名刺入れのケースがグッズになっています。買ってくれたら「宣伝部長」になれますよ(笑)。これからは自分でいろいろやっていかないといけないと思っていますので。

――社長というと、どんなイメージをお持ちでしたか。

星野:おじいさん(笑)? やり手でしっかり者というイメージなので、自分とは正反対の世界だと思っていました。

――だからこそ、インパクトありますね。

星野:今まではいろいろな方々に支えられて歌ってきましたが、これからは自分で曲も作って、情報を発信して、制作・宣伝会議にも参加して、積極的にやっていかなきゃいけないという責任感が芽生えてきました。やりがいを感じています。

――社長就任コメントの中に「食べていくのも大変になります」というシビアなコメントもありましたが。

星野:楽しいだけではやっていけないという危機感はあります。先日早速、オファーいただいたイベントについて、自分がイベンターさんとやり取りをして、ライブの打ち合わせをしてきました。ギャラのことから当日のリハの時間まで、細かく打ち合わせしなきゃいけなくて、大変だなって……。

――歌の世界とのバランスを取るのも大変そうですね。今回の転機は、AKBを辞めた時と同じくらい重大な決断でしたか。

星野:今回の方が勇気がいりました。AKBを辞める時は、1人になりたいっていう願望があったので、そんなに怖くありませんでした。でも今回は自分で決心をしたので、AKBを辞める時とは全然違います。

――その心境に至った経緯は?

星野:実は本当はもう音楽を辞めようって思っていたんです。これからは家で一日中テレビを見て過ごして、そのうち親の介護をして暮らしていこうかなと考えていたんです。

――そうなんですね。アーティストを辞めようと思っていたんですか。

星野:はい。本当は、昨年の11月の段階では、辞めるつもりでした。11月18日のワンマンライブで、「辞める」って言おうって決めていたんです。でも、そこでは言えずに、それから十何日の間に気持ちが変わったんです。

――そこまで思い詰めていたのですね。

星野:高校生の時からオーディションを受け続けて、二十歳を前にようやくAKBのオーディションに受かって、そこからここまでやってこられたのも凄いことなんだからって思い直して……。辞めるのはいつでもできるから、最後に自分でちゃんとやってみようって。まわりの人にも、「ひとりでやってみるのもアリなんじゃない?」って言ってもらったり。

――それで思い直したと。そんな思いが、今回の作品「逆光」からも伺えます。そして、作風が今までのポップミュージックからシンプルなシンガー・ソングライター系のサウンドに変わっています。

星野:自分で曲を作りたいという気持ちが高まりました。今までも自分で曲は作っていたんですが、これからは自分で作ってちゃんとした形で発表していきたいと思いました。そんなときにサリー久保田さんがプロデュースしてくれることになり、「みちるちゃんの声はチェロとかの弦楽器やピアノのようなシンプルなサウンドが合うと思うんだ」と言ってくれて。今までは明るい曲が多かったけど、じゃあ、そういう曲、しっとりしたマイナーっぽい曲でやってみようってことになったんです。今までとは違う感じがすごく楽しかったです。「逆光」は私が作った曲が先にあって、詞はマイクロスターの飯泉裕子さんにお願いしました。

――詞に関しては意見を出したりしたんですか。

星野:みんなで話し合いをしている中で「みちるちゃんはピエロみたい」っていうキーワードが出てきたんです。「いつも笑ってるけど、実は泣いているんじゃないか」って。人に言われると恥ずかしいですが(笑)。でも今回は、Smooth Aceの2人にも参加していただいたんですけど、その時も「みちるちゃんは目の奥が悲しそう」って言ってもらって。自分では「なんなんだ?」って思ったんですけど(笑)。

――「逆光」はそのキャラクターが反映された曲ということになりますね。気に入っている歌詞はありますか。

星野:この曲の歌詞は、学生時代の淡い初恋の思い出を書いてくれたものですが、特に2番のサビのところ。「カーテンでかくれんぼして、ひそひそ話し聞こえたの」っていうフレーズが好きですね。私、高校は女子高だったので、中学生のころを思い出します。

――ほかに「逆光」についてのポイントは?

星野:今回初めてピアノのレコーディングに挑戦しました。ライブでピアノを弾いたことはあったんですが、レコーディングで弾くのは初めてで、すごく大変でした。デモは簡単なコードで作っていたんですが、それを岡田ユミさんが譜面にしてくれて、それをひたすら練習してレコーディングに挑みました。

――どのようなレコーディングだったんですか。

星野:私のピアノとチェロとパーカッションの方の3人で、一発録り。3回くらい弾いたかな? 臨場感が大事だっていうことなので、きれいに合わせて、正確にというよりも、みんなで一緒にノリでやった方がいいからということで、ミスしても途中で止めたりせずにやりました。

――シンガー・ソングライター路線については、どう考えていますか。

星野:今後はライブも変わってくると思うんです。今まではカラオケで歌うことが多かったんですけど、ピアノの弾き語りが多くなるかなって。新たな世界に進めるかなと思ってすごく楽しみです。不安もありつつですけど。

――2曲目の「ロックンロール・アップルパイ」は、一転して明るい曲です。

星野:サリーさんから「もしも、星野みちるがロックンロールを作ったら?」っていうお題を提案していただいたんです。「ロックンロール?」と思いましたが、「ちょっと作ってみます」って言って。でも、私はロックンロールがよく分かっていなくて、何だろうと思って、YouTubeとか検索して、ネットで何曲か聴いてみました。大体リズムが「ズンチャチャズンチャ」って感じで「これがロックンロールなのか!?」って。たぶん違うんでしょうけど(笑)。

――聴いた曲は覚えていますか。

星野:山口百恵さんの「ロックンロール・ウィドウ」とか。

――その時代の昭和の歌謡曲についてはいかがですか。

星野:あの頃の歌謡曲はメロディも好きだし、テンポも早過ぎなくて、私にはちょうどいいです。最近の曲はテンポが早くて、キーも高いし、歌いにくいんですよね。あとは、母親が研ナオコさんのファンでずっと聴かされてきたんで、スッと入ってくるんでしょうね。私は松田聖子さんの曲が好きですね。

――以前、カバーされていましたもんね。この曲は、ビートルズへのオマージュが強く感じられます。

星野:ロックといえばビートルズみたいな……。でも、テレビの「なんでも鑑定団」でしかビートルズを知らないので、ビートルズにまつわる単語だけを散りばめてみました。

――どのように作った曲ですか。

星野;曲を先に作り、そこから、好きな人にアップルパイを作る過程を歌詞にしたらいいんじゃないかなって思って書き始めたんです。まだ自分でアップルパイを作ったことはないんですが、今度クックパット見て作ってみたいです(笑)。

――こういうアップテンポの曲はいかがですか。

星野:楽しい気持ちになりますね。でも、この曲はピアノを弾きながら歌うのがすごく難しくて練習しないと、ですね。

――続きまして「さよならブルーバード」。これは詞も曲もほかの人の作品ですね。

星野:昨年の2月にSmooth Aceさんのライブへ参加させてもらった時に、Smooth Aceさんから「一緒に歌う曲を作ってもいいですか?」ってお願いされたので、「ぜひ!」って答えたら、「みちるさんの悲しい目が印象的で、そこからメロディが出てきちゃいました」って言われて出来た曲なんです。すごく感激して。歌ったのはその一日だけだったんですが、それ以来ずっと好きな曲でした。いつか、アルバムに入れたいと思っていた曲だったので、今回ようやく実現しました。

――弦楽の響きが素晴らしく、今回のコンセプトにぴったりです。

星野:ライブの時は、1番をわたしが歌って、2番は重住(ひろこ)さんが歌って、3番は一緒にハモる段取りだったんですけど、2番を重住さんが歌った瞬間に、ウルウルしちゃって……。今回は弦楽四重奏のアレンジでレコーディングしたので、いざ歌うってなると、今までの歌い方だと合わないなって思って。難しかったですね。

――でも、星野さんの声は繊細だから、弦と合いますよね。4曲目の「ガンバレ!」はAKB時代の曲ですね。

星野:AKBの時に作った曲です。AKBを卒業して出した「卒業」っていうソロアルバムの中に入っていたのですが、今回の決断は自分にとってとても大きなことだったので、原点に立ち返るって思いで、再び歌いました。

――改めて歌ってみて、いかがでしたか。今回はアカペラですが。以前と表現の仕方が変わりましたか。

星野:私のボーカルだけの多重録音だったんですが、十数年前に歌ったときの歌い方は、このアレンジには合わないなと思って、この曲もすごく苦労しました。以前の歌い方が体に染み付いていて、どうしたらいいんだろうって。時間をかけて、いろいろなやり方を試してみて、この形になったのですが、すごく満足しています。ボーカルだけの多重録音、またやってみたいなって思います。今回のレコーディングは、初めてのことばかりで、すごく楽しかったです。

――セルフカバーということで、周囲の反響も大きいのではないですか。

星野:母は昔の『ガンバレ!』とアレンジが全然違っているのでビックリしていました。「でも好き」って言ってくれて嬉しかったです。この曲を作ったとき、作詞してくれた秋元康さんは「つらいことがあったら、この歌を口ずさみなさい。星野のことを書いたんだから」って言ってくださったことを思い出して、今回、秋元さんに「『ガンバレ!』歌わせていただきます。出来上がったら送るので聴いてください」とメールをしました。

――あと、今回はジャケットも今までのものとは違いますね。

星野:信藤三雄さんに写真を撮っていただきました。信藤さんとはThe Scootersとのお仕事のほか、いろいろご一緒させていただいていて、「今回、レコード会社立ち上げるので、信藤さんにデザインをお願いしたいです」と言ったら「やらないわけにはいかない」って引き受けていただき、実現しました。心強いです。

――イメージしたものとは違っていたんじゃないですか。

星野:まさかこうなるとは思いませんでした。撮影はすごく時間がかかったんですが、とても楽しかったです。最初にプロフィール写真を撮影したあとに千葉の海辺に移動して撮ったんですが、「陽が落ちるまでが勝負だから」って言われて、車の中で急いでヘアメイクしてもらいました。目の回りが真っ黒になり、頭もくるくるに巻いてもらって。

――今まで見たことのない星野さんになっています。

星野:信藤さんには前もって曲を聴いてもらって、気に入ってもらっていて、「逆光」に合うのは、絵画っぽい感じということでした。空の色が暗くなってきたときに映えるように計算されたヘアメイクでした。実物見たらすごく真っ黒で怖いんですけど(笑)。

――色々な方々に支えられて完成した作品なんですね。

星野:本当に感謝しています。

――今後の目標はいかがですか。

星野:前から同じことを言っていますが、テレビで歌いたいです。今回は「ロックンロール・アップルパイ」が楽しい曲で、山口ともさんにパーカッションを入れてもらって、ドラムセットもアルミ缶やゴミ箱とかで演奏してくれて、楽しくなっていますので、NHKの「みんなの歌」に使われないかなって思っています。マンガも描きますので、よろしくお願いします。あとは、アルバムも作れたらいいなって思ってます。

――実現するといいですね。ところで、「よいレコード會社」のネーミングはどうやって決めたんですか。

星野:去年11月のワンマンライブのとき、ファンのみんなは「もう星野みちるは、辞めるんじゃないか?」って心配をしていたようなんです。リリースもしばらくありませんでしたし。そんな私が、「レコード会社を立ち上げて、社長になります」って言ったら、みんな驚いてさらに不安になりそうだったから、どういう名前にしたらみんなが安心するんだろうって考えて、この名前を考えました。「よいレコード會社」から新曲を出すって言ったら、いい音楽そうだって。ほかの案は「最高かレコード」や「みちるレコード」とか、いろいろ考えましたが(笑)。

――最初の話に戻りますが、辞めようと思ったところから、会社社長になったってことをどう思っていますか。

星野:本当に自分でもビックリです。辞める方向で気持ちは固まっていましたので。でも、何ですかね……。1人で始めたので、最後にまた1人でやってみようって思ったのが強いですね。なので、今はもうやる気満々です!

 

【CDリリース情報】

『逆光』
発売中
¥1,500円(+税) YRCD0001

1.逆光
2.ロックンロール・アップルパイ
3.さよならブルーバード
4.ガンバレ!
5.逆光 (Instrumental)
6.ロックンロール・アップルパイ (Instrumental)
7.さよならブルーバード (Instrumental)

https://www.youtube.com/watch?v=IXn2SAHB4V8

星野みちる

11月19日生まれ。千葉県出身。B型。左利き。3歳から19歳までクラシックピアノを習う。2005年AKB48オープニングメンバーに合格。07年シンガー・ソング・ライターを目指し同グループを卒業。現在までに、はせはじむ、佐藤清喜(マイクロスター)、小西康陽、高浪慶太郎、ヤン富田、T WEEDEES、そして、ブルー・ペパーズ、杉真理などから楽曲提供を受け、グッド・ミュージック界隈で話題沸騰。2017年には本人初となる全国ツアーを開催、各地域で好評を博す。2018年12月に星野みちるの自主レーベル「よいレコード會社」を立ち上げる。2019年3月には自社レーベルからの第1弾シングル「逆光」(サリー久保田プロデュース)を発売。

オフィシャルサイト

 

『東京レコード散歩』2017年2月22日発売。東京にちなんだ曲だけを収録したコンピレーション・アルバム『東京レコード散歩』第二弾がレコード会社3社から同時発売!

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