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歌謡曲リミテッド スペシャルインタビュー

ギャランティーク和恵、青和恵&赤和恵の集大成! 『オリジナルコレクション』『カバーコレクション』2枚同時発売

取材・文:長井英治 公開日:2019年4月10日

Photo=Shinobu Shimomura

昨年4月にリリースされた星屑スキャットのファースト・アルバム『化粧室』は、クオリティの高さから音楽ファンからも非常に高い評価を受け、コンサートの動員もうなぎのぼりだ。また、テレビ番組『カバーズ』の影響もあり、認知度を増している。そんな星屑スキャットのメンバーでもあるギャランティーク和恵が、これまで発表した楽曲を集めたアルバムを2枚同時で発売する。ジャケットからも伺えるように、単なる寄せ集めではない、彼女なりのこだわりが随所に光る2枚のアルバムに込められた思いをじっくりと語っていただいた。

私自身、常に歌謡曲ファン目線でいたいと思っています。

――昨年4月に星屑スキャットのアルバム『化粧室』がリリースされてから、約1年が経過しようとしていますが、この1年星屑の活動はいかがでしたか。

和恵:『化粧室』がリリースされてファンが増えたというのと、音楽ファンに少しずつ認めてもられたかなという手ごたえはあります。アルバムをリリースしないと見えてこないものってあるんだなというのを改めて感じています。

――星屑スキャットは、女装ユニットということで、「イロモノ」として見られてしまう局面もあったと思うんですが、『化粧室』というアルバムをリリースしたことで、純粋に音楽的に評価されてきたというのが実感できますね。

和恵:こうやって音楽的に評価していただくまでに時間はかかるだろうなと初めから思っていたので、これまで地道に活動を続けて来て良かったと思います。

――コンサートの動員がすごく増えていると思うんですが、要因はなんでしょうか。

和恵:やはり、NHK(BSプレミアム)の「the Covers」に出演していることが大きいと思います。キャンペーンで地方に行くと、多くのお客様から「Covers観たよ」という感じで必ず声をかけていただきますし、改めてNHKの偉大さを(笑)実感しています。

――星屑スキャットが忙しいと、「ギャランティーク和恵」としての活動が減ってしまうので、ファンとしてはちょっとヤキモキしてしまいますよね。

和恵:昨年は星屑スキャットのアルバムリリースもあったので、星屑を中心に活動しようと決めていたんですが、ひと段落ついたら次は自分のアルバムをリリースできたらなと思っていたんです。でもこれまでに発表してきた曲を集めればアルバムは出来ちゃうけど、それだけだと物足りないし、ただの寄せ集めみたいな感じにはしたくないなとは思ってました。

Photo=chum

――今回、アルバムが2枚同時発売になるわけですけれど、すでに構想の中にあったんですか。和恵の『赤盤』『青盤』みたいになってますよね。

和恵:これは、ジャケット写真を撮影した時のバックがたまたまこの色だっただけなんですが、どこに行っても、「ビートルズですか?」と言われるので、青盤、赤盤として売り出そうかな?(笑)。最近、違うスタイルのバンドを二つ結成して、それぞれ平行してライブをやり始めてたのですが、それがまさにジャケットのようにくっきりと色分けされているんです。打ち込みなんかも入ったエレクトロな歌謡曲やオリジナル曲を中心に演奏してくれるバンドと、70年代〜80年代中期にかけたいわゆるオーソドックスな歌謡曲の雰囲気のアレンジをしてくれるバンドなんですが、その二つのバンドで色分けして活動をしたいなと思っている所だったのでちょうどよかったかもしれません。

――『オリジナルコレクション』と『カバーコレクション』とアルバムのタイトルがとてもシンプルですけど、これは意図して付けたタイトルなんでしょうか。

和恵:オリジナルとカバーの2枚出すと決めた時に、変に凝ったタイトルをつけたくなかったんですよ。『オリジナルコレクション』に関してはコンセプトアルバム的なストーリー性を持たせて制作したわけではないので、シンプルに「オリジナル」でいいんじゃないかと思ってました。とは言っても、1枚のアルバムとしてまとめて聴くと12曲多種多様なので、和恵の「オリジナル」って一体何だ?って困惑しそうですけど、歌謡曲って基本的に雑多な音楽だから、歌謡歌手としては非常に正しいオリジナルアルバムになってるかと思います(笑)。他のミュージシャンにはこういうアルバムは作れないでしょうね。

――アルバムの芯の部分に和恵さんが居座っているので、『オリジナルコレクション』は決して寄せ集めみたいには聴こえないですよ。

和恵:歌い直した曲やアレンジをし直した曲もあるので、そういう意味では過去の音源の寄せ集め的には聴こえないと思います。新曲も2曲(『不眠症のパンセ』『明日は雨』)収録されてますし。KIRINJIの堀込高樹さんに書いていただいた『あきらめのボン・ヴォヤージュ』だけは歌い直していないんですけど。

――2011年に発売されたコンピレーションアルバム『MIDNIGHT + 1』に収録の1曲でしたよね。

和恵:この曲が入ったアルバムは今は入手困難で配信もしていなかったので、改めて自分のアルバムにそのまま収録したかったというのもあり、ボーカルとしてはこのアルバムの中ではいちばん古い曲になってます。

――和恵さんはサウンドづくりに関しては、どのあたりまで意見を言うんですか。どの曲もサウンドが作り込まれているので、かなり細かく指示をだしてるのかな?と思っているんですけど。

和恵:実際はほとんど口を出していないんですよ。想像していないようなサウンドやアレンジが上がってきても「そう来たか!」という感じで、そのアレンジに乗っかれてしまう自分が居るんです。意外なアレンジで歌う事をどこかで面白がってる感覚に近いかもしれません。

――今回の『オリジナルコレクション』の中で意外なアレンジはありましたか。

和恵:『夜に起きるパトロン』です。

――我々が主催したイベントのために作られた曲ですよね。

和恵:町あかりさんに作っていただいた曲をKASHIFさんにアレンジしていただいたんですが、私としてはKASHIFさんのアルバム「Blue Songs」のようなメロウなものを想像していたんですね。でも実際は思いのほか歌謡曲テイストなアレンジになっていて驚きました。違う引き出しを開けてアレンジして下さったのかなと思っていますが、町さんのデモのユニークさとKASHIFさんのおしゃれさがいい感じでミックスされているアレンジだと思います。

Photo=chum

――そしてもう一枚『カバーコレクション』が発売になるわけですが、先日「ギャランティーク和恵、筒美京平を唄う」というライブを終えたばかりですよね。

和恵:これは、一度開催した「筒美京平を唄う」というテーマのライブを約10年ぶりに内容を変えてのライブだったんですが、10年前はその時の気分で歌いたいもの軽いノリで選曲をしていた部分があったんですね。でもそういう曲ってそのライブ限りでその後1回も歌っていなかったりするので、今回はこれまでの私のライブのセットリストにも良く入ってくる自分自身のスタンダードのようなものを中心に選曲しました。やはり歌い続けてきている曲はどこかシックリ来るし、それだけ思い入れもあります。

――まだ、和恵さんは音源化していませんが、中島みゆきさんの『兆しのシーズン』(作詞・中島みゆき、作曲・筒美京平)のカバーを聴いた時には素晴らしくて背筋がぞっとしました(笑)。

和恵:私自身もこの曲を聴いた時に背筋がぞっとしたので(笑)、その衝撃もあって好きになり歌い始めたんですが、みゆきさんの詞の世界に相当やられる曲ですよね。

――今回発売になる『カバーコレクション』は和恵さんが、2016年~2017年にかけて発売した『ANTHOLOGY』シリーズ5作品からの選曲ですよね。このシリーズで和恵さんの歌謡曲への造詣の深さを改めて思い知らされました。

和恵:このシリーズはすべて3曲入りで5タイトル発売したんですが、3ヶ月に1回ずつのリリースだったので、制作がかなり大変でした。ジャケットのアートワークを含めて私自身で手掛けていますし。

――和恵さんの選曲って、筒美京平さん率が高くなりますが、これは意図してそうなるんでしょうか?『カバーコレクション』は10曲中5曲が筒美京平さんの作品ですよね。

和恵:これはいい曲だなと思って、後からクレジットを見ると、筒美京平、松本隆コンビの作品ということが多々あります。またやられたなと(笑)。私はどうやら松本隆さんの歌詞の世界に引っ張られることが多いみたいです。昔は阿久悠さんみたいな、人間の恥ずかしい部分を露わにされるような重い歌詞が好きだったんですけど、長く歌謡曲を歌い続けていると、段々と松本隆さんの世界観のほうが自分にシックリと来ることが分かったんです。今回アルバムに収録されている『煉瓦荘』なども、多分私に合ってる世界なのかなと。ファンの皆さんからの評判も良くて嬉しいです。

――『ANTHOLOGY』シリーズは全曲で15曲あるんですが、アルバム用に10曲に絞るのは難しかったんじゃないですか。

和恵:15曲全部入れてしまうと、もともと出してた『ANTHOLOGY』シリーズが売れなくなってしまうし、在庫を抱えるレーベルオーナーとしてはそのあたりのバランスも考えつつです(笑)。『ANTHOLOGY』には裏テーマがあって、女の一生的なストーリーになっているんですよ。恋を知り始める10代、恋に情熱を燃やす20代、そして失恋を知って不倫なんかもしちゃう30代、気が狂った40代(笑)、そして女としての業を背負う50代。随分勝手な女のイメージですけど(笑)。今回それらをアルバムとして纏めるとなると「マイ・ジュエリー・ラブ」から華やかに始めた方がいいかなと思って順番は変えましたが、『カバーコレクション』はそんな女の愛のストーリーを楽しんで聴いて欲しいです。

――和恵さんのカバー曲の選曲って見事にマニアックな選曲が並びますよね。

和恵:そっちの方が面白いし、私自身、常に歌謡曲ファン目線でいたいと思っています。私がメジャーな歌謡曲をカバーしても面白くないと思うし、私がやるべきことではない気がします。ある意味マニアックな曲を取り上げることで、歌謡曲ファンの方にも喜んでもらいつつ、さらには多くの方に今まで知らなかった名曲として知っていただけるきっかけになればと思っているので。

――今年は星屑スキャットのツアーもありますが、ギャランティーク和恵としての活動はどんな予定ですか。

和恵:5月15日(水)には青和恵的なライブ(『電撃的歌謡環嚠嬲Ⅱ』@WWW渋谷)を控えています。8月31日(土)、9月1日(日)には赤和恵的なライブを2デイズ、南青山MANDALAで予定しています。こうやって色分けできると、わかりやすくていいですね。青和恵も赤和恵もどうぞ可愛がってやってください(笑)。よろしくお願いします。

Photo=chum

【CDリリース情報】

『カバーコレクション』
発売中
¥2,314円(+税) MLCD0011

歌謡歌手・ギャランティーク和恵の真髄がこのアルバムに凝縮。歌謡曲に対する深い愛情と審美眼による選曲、歌唱により、昭和の隠れた名曲を蘇らせる。

【CDリリース情報】

『オリジナルコレクション』
発売中
¥2,777円(+税) MLCD0010

 

2009年からの10年の間に制作されたオリジナル曲を全て集め、新曲も加えた初のオリジナル・アルバム。

ギャランティーク和恵

福岡県出身。武蔵野美術大学視覚伝達デザイン学科中退。
2002年、渋谷「青い部屋」にてオーディションを受け活動をスタート。以降、一貫して「歌謡曲」を歌い続けている。その時代へのリスペクトと愛情に裏打ちされた歌唱と、現在の音楽シーンともシンクロする歌謡曲の持つ音楽性の高さを重視した選曲で、懐メロではない新しい歌謡曲の価値を生み出しながら歌い継いでいる。
2005年より、ミッツ・マングローブとメイリー・ムーとのユニット「星屑スキャット」のメンバーとしても活動している。

ギャランティーク和恵オフィシャルサイト

 

 

 

『東京レコード散歩』2017年2月22日発売。東京にちなんだ曲だけを収録したコンピレーション・アルバム『東京レコード散歩』第二弾がレコード会社3社から同時発売!

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