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歌謡曲リミテッド スペシャルインタビュー

シティポップに思いを馳せた、伊藤美裕の新境地がここに

取材・文:長井英治 公開日:2019年8月8日

2011年4月に「コロムビア創立100周年記念歌謡曲アーティスト」としてシングル「六本木星屑」でデビューした伊藤美裕。あれから8年が経過した2019年、ついに待望のアルバム「AWAKE」が発売になった。前作のシングルが発売されてから、約4年半ぶりのリリース作品でもある本作は、70年代~80年代のシティポップに思いを馳せる渾身の意欲作。そんな新境地を開拓した伊藤美裕に久しぶりにインタビューをした。

この10曲は私の20代のすべて

――前作のシングル「COME ON! COME ON!」から、早くも約4年半の月日が流れましたが、この数年はどんな活動をされましたか。

伊藤:作品のリリースがない時期にも、ライブは定期的に継続してきたのですが、ライブでは自分のオリジナル曲だけではなく、他のアーティストのカヴァーをする事も多かったですね。カヴァーするにあたって80年代のアイドルの曲を聴くこともあったのですが、例えば松田聖子さんだったりすると、作詞、作曲やバックのミュージシャン含めて最近再評価されている、シティポップ系の素晴らしいアーティストが参加しているじゃないですか。そういう部分に気付き始めてから、音楽の聴き方も変わったように思います。

――美裕さんのフェイヴァリット・アーティストはどなたですか。

伊藤:私はデビューする前から吉田美奈子さんが大好きで、普段プライヴェートでも美奈子さんのライブに足を運んでいます。それから大貫妙子さん。歌や佇まいから学ぶことも多いです。

――最近、ライブではどのあたりの曲をカヴァーしているんですか。

伊藤:ティンパン・アレイの「ソバカスのある少女」(作詞 松本隆 作曲 鈴木茂)がすごく好きでカヴァーしています。

――そういえば昨年「ライブ歌謡選抜」に出演していただいた時に、美裕さんこの曲カヴァーしていましたよね。あのカヴァーはとても新鮮でした。

伊藤:あとは、細野晴臣さんや石川セリさんも好きなアーティストです。共通しているのは「アンニュイ」な部分ですね。どうやら私はアンニュイなものに魅かれる傾向があるようです(笑)。

――大石吾郎さんのラジオ番組「Premium G ?MUSIC GIFT?」でアシスタントをされてますよね。

伊藤:大石さんといえばポプコンを思い浮かべる方も多いと思いますが、毎回レジェンドのゲストにお越しいただくので、興味深いお話が聞けてとても勉強になっています。1回目のゲストからいきなり八神純子さんでしたから。

――そういえば、美裕さんの憧れのアーティストASKAさんもゲストに来て下さったんですって?

伊藤:そうなんですよ!自分が今まで聴いてきたCDをスタジオに持って行ってASKAさんの目の前に並べたりして(笑)。CHAGE&ASKAは私が5歳くらいから聴いていたアーティストだったのでとても感激でした。アーティストとしてぶれない芯のある部分を垣間見れる場面が多くて、とても刺激になりました。

――伊藤美裕さんの待望のアルバム「AWAKE」がついにリリースになりました。「AWAKE」はシティポップ的アプローチのいわば新境地的作品ですが、ファンの方の反応はいかがですか。

伊藤:普段ライブに来て下さっているファンの方は、私が歌ういろいろなカヴァーを聴いて下さっているので、いわば地続きみたいなイメージで、自然な形で受け入れて下さっていると思います。

――4月に先行配信になった「Believer」ですが、イントロを聴いた瞬間「待ってました!」って感じでした(笑)。関係者の方から美裕さんがシティポップ系のサウンドを模索しているという噂は聞いていたので、個人的に「待望の!」っていう感じでしたよ。

伊藤:そうやって言っていただけるのが一番うれしいですね(笑)。これまで発売してきたシングルの歌詞に出て来る主人公はどこか大人びていて、私自身背伸びをしていた部分が少なからずあったと思うのですが、今作は初めて作詞に挑戦したこともあって、かなり自分の等身大に近い世界が表現できたかもしれません。

――美裕さんは、これまで詞を発表したことはなかったんですか。

伊藤:普段、いつも考えている事を文章や詩にする作業はしているのですが、作詞という形で表に出したのは初めてです。今回は曲先だったので、メロディに自分の言葉をはめていく作業は大変でした。自分の心境にぴったり合った言葉を探すのにかなり悩みました。煮詰まった時はスタッフから「散歩して来たら」と言われたりして(笑)。」

――「Believer」は歌詞を書く前に、ある程度アレンジも今の形で出来上がっていたんでしょうか。

伊藤:「Believer」は作曲もアレンジも宮野弦士さんなので、明確にイメージ出来る世界がデモの中にはありました。曲はとてもポップで明るいのですが、それとは裏腹にそれまでの自分を打破したいというモヤモヤとした気持ちを詞で表現できたのではないかな、と思っています。

――そして、アルバム発売に先駆けて先行配信された「It must be love.」ですが、南佳孝さんの書下ろし曲ですね。シティポップ・ファンとしても嬉しいニュースです。

伊藤:南佳孝さんが石川セリさんに提供した「Midnight Love Call(アルバム「気まぐれ」収録)」という曲がとても好きで、私自身ライブでカヴァーしている曲なのですが、そんな南佳孝さんに曲を書いていただけるなんて、とても感激でした。

――やはり美裕さんにはアンニュイの方向が似合っているのかもしれませんね。

伊藤:私の声はどこか翳りがあると言われるので、頑張らなきゃ歌えないような底抜けに明るいタイプの曲は自然とレパートリーから外れていきます。そういう意味でも「It must be love.」は私の声質に寄せたアレンジを西脇辰弥さんがして下さっていると思います。

――南佳孝さんのデモはどのような形で届けられたんですか。

伊藤:ギター1本とハミングだけという、なんとも素晴らしいデモでした。サイン入りの楽譜がデモには添えられていて。

――きっと素晴らしいデモだったんでしょうね。それは是非聞いてみたいです。

伊藤:でもあまりデモを聴きすぎてしまうと、私がこの楽曲に詞を提供するみたいになってしまうので、デモのキーを上げたりしてあまり変に意識しないように詞を書きました。

――「AWAKE」は5曲入りというコンパクトな曲数に、濃いエッセンスがギュと詰まっていますね。

伊藤:言葉では表すというより、とにかく聴いて欲しい作品ですし、今まで私の音楽を聴いた事がない方にも是非聴いて欲しい1枚です。私は、佐藤博さんの「awakening」というアルバムが好きで、最初は同じタイトルにしようかなと。でも、敬意を表する気持ちで結果「AWAKE」にしました。シティポップ系の音楽が好きな方に、ニヤッとしてもらえたらなと(笑)。

――今回DISC2がボーナスディスクになっていて、美裕さんがこれまでに発売したシングル5枚(カップリング曲含む)がすべて収録されていますね、一粒で二度おいしいアルバムですね(笑)。

伊藤:今回アルバムになるという事で改めて全曲聴いてみたのですが、歌詞の中のヒロインたちが私の中で生きていて、彼女たちから力をもらっていたのだと改めて気付きました。この10曲は私の20代のすべてと言ってもいいかもしれません。どの曲も愛しい曲ばかりです。

――今年はこのアルバムをひっさげて、あちこちで歌う機会も増えると思いますが、パフォーマンスの感じも変わって来そうでしょうか。

伊藤:今ギターを一生懸命練習しているんですが、そのうちギターの弾き語りでライブ出来るようになれたらいいなと思っているんです。そんな私の成長を是非ライブで見ていただけたら嬉しいです(笑)。

【CDリリース情報】

『AWAKE』
7月24日発売
COCP-40909-10 ¥3,000+税

DISC1
1.It must be love.
2.Dawn
3.Believer
4.アタラシイワタシ
5.Dawn(Acoustic ver.)

DISC2
1.あなたの花になりたい
2.月の鍵
3.COME ON! COME ON!
4.ひとり十六夜
5.マリエの話
6.恋の裏わざ
7.北国行き11:50
8.ちょっとヨコハマ
9.why?〜真夜中の予感〜
10.六本木星屑(スターダスト)

【配信情報】
「Believer」
COKM-42396 <配信限定>「It must be love.」
COKM-42409 <配信限定>

伊藤美裕

2011年、「コロムビア創立100周年記念歌謡曲アーティスト」としてシングル「六本木星屑」でデビュー。
デビュー前の2011年3月より文化放送ラジオ他全国6局ネット「日野ミッドナイトグラフィティー 走れ!歌謡曲」の火曜レギュラーパーソナリティーを3年間務める。同年末の第53回日本レコード大賞新人賞を受賞。さらに日本メンズファッション協会より「第8回ベストデビュタント賞」(音楽部門)も受賞。
やがて、かねてより好きだった70年代から80年代にかけてのジャパニーズポップスに大きく影響を受け、音楽を自ら発信したいという思いでアルバム制作に着手。伊藤美裕の第2章として、ポップスの道を歩み始める。2019年4月、4年ぶりのシングル「Believer」を、7月、1stアルバム『AWAKE』を発売。

オフィシャルサイト

 

『東京レコード散歩』2017年2月22日発売。東京にちなんだ曲だけを収録したコンピレーション・アルバム『東京レコード散歩』第二弾がレコード会社3社から同時発売!

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