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女優デビュー35周年記念 薬師丸ひろ子 セレクション・カバーアルバム『時の扉』 全曲本人楽曲解説 歌を聴くことによって、いろんな扉を開けて、いまと過去を、そして未来を繋げてくだされば

歌謡曲リミテッド アーティスト特集

女優デビュー35周年記念
薬師丸ひろ子
セレクション・カバーアルバム『時の扉』
全曲本人楽曲解説

歌を聴くことによって、いろんな扉を開けて、
いまと過去を、そして未来を繋げてくだされば

インタビュー・文/天辰保文 公開日:2014.01.10

2013年、薬師丸ひろ子は、女優デビュー35周年を迎えた。子役なんかではない、女優がたまたま中学生だったにすぎないような、映画『野生の証明』での幼い彼女が鮮やかに思い出されるが、35年というその歳月は彼女にとってどういうものだったか、また、その歳月は彼女に何をもたらしたのだろうか。
「そうですねえ」、ゆっくり考えながら、少し間をおいて彼女はこう続けた。
「アッという間でしたね。いろんなことに行き当たるうちに、気が付けば35年経っていたという感じです。その間、自分では想像もできなかったほど濃密な時間の連続でした。いろんな人を演じることで、沢山の人生を生きてきたような気がするんですよ」。

その35周年を記念して、このアルバムは完成された。「浜辺の歌」、「椰子の実」、「故郷」、「仰げば尊し」といった唱歌や童謡、「黄昏のビギン」に「夢で逢えたら」のような歌謡曲にポップス、「星を求めて」に「クリスマスには帰るから」といった海外の歌まで、国内外を問わず、時代の壁を越えて、名曲の数々を、ドラマ劇伴や映画音楽作家として著名な吉俣良のアレンジで歌いつづるというカヴァー・アルバムだ。「セーラー服と機関銃」のように、歌手としての人気を決定づけた曲も、「ノスタルジア・バージョン」という形で改めて歌いなおしている。タイトルは、『時の扉』。

「過去の扉もあるかもしれないし、未来への扉もあるかもしれない。歌を聴くことによって、いろんな扉を開けて、いまと過去を、そして未来を繋げてくだされば」という思いを込めた。それに、「山はあおき故郷、水はきよき故郷という、日本の象徴のようだったものが、当たり前だったものが、いまは当たり前ではなくなりつつある。古い曲ですけれども、それらは過去でありながらいまは私たちの希望でもあり、未来に繋がるものでもある、そういった意味でも、私たちの夢を託すというか、そんなことを、作りながら感じていました」。

また、「いろんなニュースが世の中に氾濫しているけれど、このアルバムを聴いているときくらいは、気持ちの良いことを考えていただければ」という彼女だ。現代に対する彼女のいろんな思いが歌たちに託されているのは想像に難くない。例えば、「クリスマスには帰るから」のように、何気ないクリスマス・ソングにみえても、そもそも、遠く離れた戦地から若者が、故郷の家族や友人たちへの想いを滲ませる歌でもあることを考えれば、彼女が何を伝えようとしているのか、届けたいのか、これらの歌たちは教えてくれる。

だからと言って、物々しく、深刻ぶって彼女は歌っているわけではない。一つ一つの歌に敬意を惜しまず、驚くほど丁寧に素直に、そしてひたむきに歌いつづっていく。そこには、上手く見せようとか、その類の意識はみあたらない。これらの歌を前にした誰とでも、彼女は大切な何かを共有しようとしているかのようにさえみえる。吉俣良のアレンジも、心の瞳に絵を描いていくような演奏で、彼女の透明感溢れる歌声を引き立たせていく。

歌たちは、脈絡がなさそうなのに、彼女の歌声で強く、豊かに紡がれ、そこには、懐かしいのに、爽やかな新風をともなった、見たことのない景色が現れる。それを前に、なんとも優しく、穏やかに心が落ち着くのは何故だろう。名も知らぬ他人に、優しく、親しげな言葉の一つや二つかけたくなってくるのは何故だろう。

そして、この華奢な身体の、初々しささえ残る笑顔の、何処にこれほどの強さが隠されているのだろうか、と思う。それこそが、35年という時間の積み重ねによって育まれたものであり、時が彼女にもたらしたものではないか。大声で叫ぶことでもなければ、これみよがしに大きな言葉を投げかけるのでもない。しかし、こういう時代に、我々が身に着けるべく強さとは、ひょっとするとこういうものなのかもしれないと思ったりするのである。

時の扉 / 薬師丸ひろ子

女優デビュー35周年記念
薬師丸ひろ子 セレクション・カバーアルバム
女優デビュー35周年記念/過去から未来へ、
心のスクリーンを彩る名曲集

『時の扉』

2013年12月4日(水)発売
税込3,000円/TYCT-69030

過去から未来へ歌い継がれるスタンダード曲を、薬師丸ひろ子自らがセレクト。唯一無二の歌声と、ドラマ『篤姫』『江~姫たちの戦国~』映画『冷静と情熱のあいだ』など、数多くのドラマ劇伴や映画音楽を手掛ける吉俣良氏のアレンジが一体となった、心のスクリーンを彩る名曲集。
歌:薬師丸ひろ子/編曲:吉俣良

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-時の扉-35th Anniversary Concert / 薬師丸ひろ子
【DVD】

-時の扉-35th Anniversary Concert / 薬師丸ひろ子
【Blue-ray】

DVD & Blue-ray
『-時の扉-
35th Anniversary Concert』

2014年1月29日発売決定!
※23年ぶりの単独コンサート@オーチャードホールの模様を収録

【DVD】
TYBT-10030 / ¥5,980(税込)
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【Blue-ray】
TYXT-10030 / ¥6,980(税込)
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『時の扉』楽曲解説

「冬の星座」

米国のウィリアム・ヘイス作「愛しのモーリー」に、1947年、堀内敬三が日本語詞をつけ、文部省唱歌として教科書に掲載された。堀内敬三は、米国での留学経験を生かして、他にも、ドヴォルザークの「遠き山に日は落ちて」を残している。「星空がみえるような歌がうたえたらいいなあと思って、、、。でも、非常に難しかったです」。

「秋の子」

1954年、雑誌『アサヒグラフ』の新童謡歳時記に掲載された童謡で、作詞は、「リンゴの唄」や「ちいさい秋みつけた」のサトウハチロー、作曲は東大農学部教授で、お魚博士の異名もある末広恭雄。彼女が大好きな歌で、子供の頃よく歌っていたらしい。「サトウハチローさんの息子さんに、父が特に大事にしていた歌です、と言っていただいて、とても嬉しかったです」。

「星を求めて」

原題は、「Look For A Star」。1955年の英国映画『恐怖のサーカス』の主題歌で、ビリー・ヴォーン楽団でヒットした。作者は、ペトゥラ・クラークの「恋のダウンタウン」のトニー・ハッチ。それに、香取治が日本語の詞をつけた。「日本のかたがあまり歌ったことがないというので、知っていただくには良いかなと思って」。

「浜辺の歌」

子供の頃からメロディーが好きだったらしい。古典文学者の林古渓が、東京音楽学校の校友会誌『音楽』に作曲用試作として発表。1916年、それに、同校の生徒だった成田為三が曲をつけ、唱歌として広く親しまれていく。成田は、西条八十と書いた「かなりや」でもよく知られる。

「クリスマスには帰るから」

1943年、ビング・クロスビーが吹き込んで以来、多くの人たちに歌い継がれてきたクリスマス・ソングの一つ。近年では、マイケル・ブーブレやボブ・ディランの録音がある。彼女は、ドリス・デイが歌っているのが好きだった。「派手なクリスマス・ソングではないんですが、そこが逆に胸にジーンと響いて、これにしました」。

「心の扉~我が母の教えたまいし歌~」

チェコの作曲家アントニーン・ドヴォルザークが、1880年に作曲した「ジプシー歌曲集」作品55の第4曲。ドヴォルザークの歌曲の中では最も有名で、ソプラノ歌手に好んで取り上げられてきた。今回は、薬師丸本人が詞をつけている。「美しい曲で、初めて聴いたときは、讃美歌に近いような、天から降ってくるような印象がありました」。

「椰子の実」

舞台は、愛知県の渥美半島の先端に位置する伊良湖岬。島崎藤村が、友人柳田國男からきいた話をもとに書いた詩(『落梅集』に収録)に、1936年、NHKの『国民歌謡』の担当者が、大中寅二に作曲を依頼して完成した。東海林太郎が歌い、NHKで放送されたのが最初で、その後、多くの人に歌い継がれてきた。

「故郷」

1914年、尋常小学唱歌として発表された。高野辰之が、故郷信州の風景を思いながら書いたという詞に、岡野貞一が曲をつけた。二人の共作では、「春が来た」、「春の小川」、「おぼろ月夜」も有名だ。「子供の頃から好きな歌で、ドラマの中でも歌ったことがありますし、ドキュメンタリー(『薬師丸ひろ子が見た!サハリン(樺太)縦断1000キロ』)でも皆さんと一緒に歌ったりしています 」

「仰げば尊し」

少し唐突かなとも思ったらしいが、好きだという思い入れには勝てなかった。1884年発刊の小学歌曲集で発表され、卒業式の定番として親しまれていく。作者は不明とされてきたが、近年、米国の民謡の中に存在することが突き止められて話題になった。

「黄昏のビギン」

「上を向いて歩こう」や「こんにちは赤ちゃん」を生んだ永六輔、中村八大のコンビが、1959年に書いた。水原弘の「黒い花びら」が大ヒットしたことから、その続編として3人で「黒い落葉」を発売する。そのシングルのB面に入っていたのがこの曲で、最近では、和幸(加藤和彦、坂崎幸之助)やセルジオ・メンデスfeat.Sumireが吹き込んでいる。彼女は、ちあきなおみの歌で親しみ、それを参考にしたらしい。「歌いながら泣けてくる歌でした」。

「セーラー服と機関銃~ノスタルジア・バージョン~」

1981年の同名映画の主題歌で、彼女は歌手としてもこの曲でデビューし、人気を決定づける。「17才のときは、メロディーに乗せられて旋律を歌ったというということのほうが強いんじゃないかと思います。ただ、それを堂々と歌うことで、主人公のちょっとした強さみたいなものを表したと思うんですけど、いまは、寄り添うというか、この曲に親密になってきたような気がします」。

「夢で逢えたら」

大瀧詠一作品で、吉田美奈子やシリア・ポールの歌で知られる。彼女と大瀧と言えば、「探偵物語」があるが、そもそも彼女は、大瀧の職人的なサウンドが好きで、1976年の吉田美奈子の歌で親しんだという。「美奈子さんの声質と、ラララ、、、というのが、本当に羽根が生えて夜空に飛んでいくようで、そんな風に歌いたいなと思いました」。

薬師丸ひろ子

1978年、映画「野生の証明」でスクリーンデビュー。「セーラー服と機関銃」「探偵物語」「メインテーマ」「Woman“Wの悲劇”より」「紳士同盟」など主演および主題歌歌唱で数々のヒットを記録。現在も国民的女優として、映画「木更津キャッツアイ」「三丁目の夕日」ドラマ「あまちゃん」など数多くの作品に出演。2013年10月、映画デビュー35周年を迎え、23年ぶりの単独コンサートツアーを実施。

http://www.universal-music.co.jp/yakushimaru-hiroko

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