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SHOGUN 時代を超えて響く“俺たちの”メロディー

歌謡曲リミテッド スペシャルインタビュー

SHOGUN
時代を超えて響く“俺たちの”メロディー

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取材・文/内本順一 公開日:2014.05.15

--そんな感じで好調だったにもかかわらず、実質2年くらいでSHOGUNは活動停止しました。

芳野:はい。別に解散はしてないけど、まあ一段落した感じだったので。次のアルバムの話も特になかったですし。それよりもそれぞれが日々ほかのレコーディングに追われて忙しくしてたから。特に大谷(和夫)くんは『火曜サスペンス劇場』の音楽とかでどんどん多忙になってたから、別にSHOGUNをやらなくてもって感じになって。

--で、藤丸さんもソロでアルバムを作ったりするようになり。

芳野:うん。

--その後、AB’Sを結成して。

芳野:そうですね。ドラムの岡本郭男とベースの渡辺直樹(どちらも元スペクトラム)、あの2人をスペクトラムに紹介したのも僕なんですよ。後輩なんでね。で、僕のソロ・アルバムを作るときに手伝ってくれた連中なんです、岡もっちと渡辺直樹と松下誠は。あとキーボードの安藤(芳彦)くん。僕のソロを作ったときにすごくよかったので、このままバンドにしようってレコード会社のひとが言いだして、それがAB’Sだったんです。

--そして1997年にSHOGUNを再結成してアルバムを出し、2000年代に入ってからはライブ活動もよくやるようになりました。やはりもう一度SHOGUNとして活動したいという気持ちが強くなったわけですか。

芳野:ライブをやりたいなと思いはじめたんですよ。だけど、その度にメンバーを雇ってというのはめんどくさいし、だったら気軽に声かけられる連中とやろうってことで、いまのSHOGUNのメンバーでもあるミッチー(長岡道夫)と岡もっち(岡本郭男)と佐倉(一樹)と一緒にやりはじめて。SHOGUNをやろうというよりはSHOGUNっぽいのをやろうということで、しばらくはSHOGUN STYLEというバンド名でやってたんですけどね。でもみんなから「スタイルってなくていいんじゃないの?」って言われて、結局またSHOGUNに戻って。で、だんだんかたまってきたっていう流れで。

--ライブをやりたいと思うようになったのは、どういう心境からですか。

芳野:さっき言ったようにもともとSHOGUNはスタジオでの仕事から始まって、コンサートホールでのライブは何度かやっていましたけど、ライブハウスの経験はなかったんです。コンサートホールとスタジオしか知らなかった。だからずいぶん遅い時期に「へぇ~、ライブハウスっていろんな人がやってるんだ」なんて思って。秀樹のときはでかいところばっかりやってたわけじゃないですか? そういうところだとお客さんと距離があるから全然あがらないんですけど、ライブハウスだと距離が近いでしょ。だから慣れるのにしばらく時間がかかりましたね。

--面白いですね。普通はライブハウスから頑張っていって、だんだん大きいところでやれるようになるものですけど。

芳野:逆ですよね(笑)。

--ライブハウスで頻繁にライブをやるようになって、気持ち的に変わりましたか。

芳野:やっぱりライブはいいなぁって。むしろコンサートホールでやってたときは、スタジオの延長みたいな感じだったから、あんまりライブの醍醐味とか面白みを感じなかったんですけど。いまのほうが面白いですね。

--そういう気持ちが現在の意欲的な活動に繋がっていったわけですね。

芳野:はい。

--2008年にオリジナル・メンバーの大谷(和夫)さんが亡くなり、翌2009年にはケーシー・ランキンさんが亡くなりました。また、ジョー山中さんや桑名正博さん(芳野は2002年に桑名正博のバンド、THE TRIPLE Xに加入してギターを弾いていた)も亡くなられた。そういったこともあって、いまやれることをやらなきゃという心境になったというところも……。

芳野:ありますね。うん。やっぱりやりつづけることが大事なんじゃないかと思ったし。みんなで集まってライブをやるのは、いまはいちばん楽しいしね。もちろんスタジオで真剣に考えながら音楽を組みたてていくことも好きなんですけど、ライブで「せーの」で音だしてやることの楽しさっていうのは、やっぱりほかにないものなので。もちろんミスもするんだけど、それも面白かったりするんですよね、いまは。

--昔はミスを許せなかった。

芳野:許せなかったし、許されなかったですからね。ミスの許されない世界でずっとやってきたんで。

--じゃあ、最近になってバンドで動くことがどんどん楽しくなっていった感じなんですね。

芳野:そんななかで、まさにどんぴしゃのタイミングで今回のお話もいただいて。ありがたいですね。

--今回、全曲新録音でベスト+新曲のアルバムを作ろうというのは、どういうところからですか。

芳野:ぶっちゃけて言うとレコード会社の意向です(笑)。僕らとしては「作らせてもらえるのはありがたいね」ってことで。最初は全部昔の曲で構成してほしいって話で、僕はそれでもいいと思っていたんです。でもメンバーに話したら、「どうせ作るなら新曲も入れられないか?」って。「じゃあ、2曲くらい新曲にしようか?」って言ったら、「いや、もっと入れよう」と。「じゃあ3曲くらい?」「いや、もっと……」なんて言って増えてって、結局5曲の新曲を入れることになって。あと6曲が古い曲。その古い曲はレコード会社からアレンジを変えないでほしいと言われてね。でも昔のアレンジでやっても、演奏はいまの演奏なので、どうしたって昔とは違うものになるわけで。

--久々にオリジナルのアレンジで演奏してみていかがでしたか。

芳野:時間はかかりました。旧曲に関しては譜面起こしから始まって、初めて自分の曲を自分でコピーするということをしたので。新曲よりもむしろ時間を要したけど。

--昔の感じに近づけようと意識して?

芳野:まあ、若さではかなわないけど、この歳なりのSHOGUNのサウンドのよさは自然に出るだろうと思って。

--深みが出ますよね。

芳野:うん。出てるかどうかはわからないけど(笑)。

--出てますよ。

芳野:はははは。

--やっぱりオリジナルに忠実というのはいいですね。でも前に全然違うアレンジで「BAD CITY」をやってたこともありましたよね。

芳野:ありました。「BAD CITY」ボサノヴァ・バージョンとか。でも今回はそういうことはしてくれるな、と(笑)。で、「はい。わかりました」って。そのへんはそんなにこだわりがないんですよ。こうじゃなきゃ嫌だとか、そんなこと言ってたらスタジオ・ミュージシャンなんかやれないから。

SHOGUN
「THE ROAD OF LIFE」

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収録曲:
01. LAS TRES MUJERES
02. 男達のメロディー
03. CASTLE WALLS
04. LOVE AND MUSIC
05. BAD CITY
06. THE ROAD OF LIFE
07. MY SWEET HEART SYUN
08. IN & OUT
09. SOUTH ON 101
10. LONELY MAN
11. ONE ON ONE(YOU’RE THE ONE)

--5曲の新曲は今回のアルバムのために書き下ろしたものなんですか。

芳野:うん。5曲入れられるってことに落ち着いたんで、じゃあオレが2曲作るから、ミッチーも2曲作って、あと1曲は佐倉ねって。

--あらかじめ分担して。

芳野:ずっとそういうやり方なんですよ。ベーシックのアレンジまで曲を作るひとが責任もってやるっていう。

--そのへんはスタジオ・ミュージシャンの……。

芳野:強みですね。僕ら、いままでずっとそうやってきたから。

--では簡単に収録曲について1曲ずつ聞いていきたいんですけど、まず新曲の「LAS TRES MUJERES」。ラテンですね。

芳野:これはミッチーが作った曲なんですけど、テキーラの名前らしいですね。それを飲んでるときにお店のマスターからこのお酒の謂れを聞いたらしくて。3人の女性のことで、お母さんと奥さんと娘さん。その3人に囲まれてこれを飲んでるときが人生でいちばん幸せなんだみたいなことだそうで、そこからこの曲ができた。

--2曲目は「男達のメロディー」。

芳野:デビューのときはふてくされて歌ってたけど、今回は楽しんで歌いました(笑)。

--で、3曲目の「CASTLE WALLS」ですが、もともとこれも『俺たちは天使だ!』に使われてた曲でしたよね。今回この曲が入ったのは嬉しかったです。

芳野:どれが選ばれてもSHOGUNの曲なので、「これはいい」「これは嫌だ」みたいなのはあまりないんですけどね。

--4曲目「LOVE AND MUSIC」は新曲ですが、歌詞がいいですね。

芳野:これもミッチーの曲ですけど、歌詞は作詞家の人と綿密に打ち合わせをしたみたい。

--「二度と逢えなくなった仲間にも 胸を張り 聞かせたいから このスタイルを変えずに さあ届けよう」っていうところにグッときます。まさにこれが今作のテーマなんじゃないかと。

芳野:だと思います。大谷くんが逝って今年が7回忌なんですけど、そうやってどんどん仲間がいなくなってしまって。でもいつでも帰れるところに音楽はあるよねっていうような話をしてましたね。

--次の「THE ROAD OF LIFE」も新曲ですね。

芳野:これは僕が作った曲ですけど、まあ、ウエストコーストっぽい爽やかなフォーク・ロック・サウンドで。そういうのが好きなんで、作ってるうちにそうなっちゃったんですけど。

--ウエストコーストっぽい感じは以前からときどきありましたよね。やっぱりそっちが藤丸さんのルーツとしてあるんですか?

芳野:好きですね。ニューヨークよりもぼくはロスのほうがしっくりくる。ソロ・アルバムもロスに行って作りましたから(1983年発表の2ndソロ・アルバム『Romantic Guys』はロベン・フォード、ネイザン・イーストらを迎えてロスで録音された)。

--この曲名がそのままアルバム・タイトルになってますね。

芳野:タイトルを決めるとき、ロードっていう言葉を使ったものがいいねってみんな言っていて、だったらこの曲名をそのままタイトルにしましょうかってことになったんです。それを受けての、ジャケット・デザインなんです。

--ぴったりのタイトルだし、ジャケットも相応しいものだなって思いました。で、次も新曲で「MY SWEET HEART SYUN」。

芳野:これはキーボードの佐倉が作ってきたもので。SYUNというのは彼の息子のことなんですよ。

--そうなんですか(笑)。で、次もまた新曲で「IN&OUT」。これは藤丸さんの作曲ですね。

芳野:これは都会の夜の感じで。そういうのが好きなんですよ。セクシーなんて言うとおこがましいけど、そういう都会の夜ならではの雰囲気。そういうのを意識しました。

--アーバンな。

芳野:そうそう、まさしく。

--次が旧曲の「SOUTH ON 101」。

芳野:これはSHOGUNの3枚目のアルバムに入っていた曲で、僕が作曲して、作詞はケーシー・ランキン。ロスからサンディエゴまで続いてる101号線のことですね。

--そして「LONELY MAN」がきて、最後に収められたのが「ONE ON ONE(YOU’RE THE ONE)」。これも3rdアルバム『YOU’RE THE ONE』に入っていた。この曲、大好きなんですよ。

芳野:これもまあ、さっきの「IN&OUT」に通じるような都会の夜的な曲ですね。なんか好きなんですよ、そういうのが。

--「LONELY MAN」「IN&OUT」「ONE ON ONE」と共通するムードがありますよね。硬派な意味でのAORというか。

芳野:そうですね。

--レコーディングはどのくらいかけてやったんですか。

芳野:1ヵ月くらいかな。ブラスの打ち込みをナマにしたりとか、そのへんがちょっとたいへんでしたけど。メーカーさんから「ここ、打ち込みでどうにかなりませんか?」って言われたけど、「無理でしょう」って。そこは相変わらずで(笑)。

--絶対に打ち込みではやらない。

芳野:完全ナマです。やっぱりナマがいいですよ。打ち込みはカッチリはできるけど、心地いい揺れ方とかは出せないから。自分のプライベート・スタジオで作るときにはプロトゥールスを使いますけど、それはあくまでもガイドであって、最終的にはナマでやる。打ち込みの音楽は打ち込みの音楽でジャンルが確立しているし、そっちで上手いひとはいっぱいいるから、あえて僕たちがそれをやる必要もないですし。

--さて24日には日比谷野音でクリエイションとのライブがありますが、今後もどんどんライブをやっていく方向ですか。

芳野:やりたいですね。ただ、SHOGUNはメンバーのスケジュール調整がいちばん大変なんですよ。それぞれいろんな人の仕事をしてるから。佐倉は専門学校の学園長だし。まあでも、できる限りやりたいと思ってますけどね。

--やってほしいですね。

芳野:アルバムももっと作りたいですね。やっぱり継続が大事だと思うので。そういう意味で、今回のアルバムがファースト・アルバムのような感じもしてるんですよ。そういえばこの前、T-SQUAREとライブをやってキーボードの河野啓三くんと話していたんですけど、彼が言うには「T-SQUAREは今度、40枚目のアルバムを出すんです!」って。もうビックリしてね(笑)。SHOGUNは10枚も出してないから。どんなペースで作ったらそんなんなるんだよって。

--年に2枚のペースですね。

芳野:無理だよね(笑)。でももしまた次にやらせてもらえるなら、もうちょっとハードなもの……ハードロックとは言いませんけど、ハードな音にしたものをやりたいなと思ってるんですよ。この間「Guitar☆Man」っていうギタリストばっかり集まってセッションするイベントに出て、マーシャル2段積みでめっちゃハードな「BAD CITY」をやったんですけど、それがやたら気持ちよくてね。で、ハードなのもいいなぁって思いはじめて。

--次回作はそのTシャツばりの感じで(この日、藤丸さんはAC/DCのTシャツを着用)。

芳野:いいですね(笑)。

【ライブ情報】

「CROSSROAD:CREATION×SHOGUN and more…」

2014年5月24日[土]
日比谷野外大音楽堂
開場 16:45 / 開演 17:30 全席指定 ¥7,020(税込)※雨天決行

問合せ:DISK GARAGE
050-5533-0888(平日12~19時)
http://www.diskgarage.com

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SHOGUN

1978年、芳野藤丸を中心に腕利きスタジオ・ミュージシャンで編成。
1979年、テレビドラマ『俺たちは天使だ!』の音楽担当に抜擢、その主題歌「男達のメロディー」が50万枚を超えるヒットとなった。
同年、松田優作主演のドラマ『探偵物語』でも音楽と主題歌を担当し、オープニングテーマ「Bad City」、エンディングテーマ「Lonely Man」ともに大ヒットを記録。2010年、SHŌGUN名義での活動に復帰。現在は、芳野藤丸(Guitar & Vocal) ミッチー長岡(Bass & Vocal) 岡本郭男(Drums)佐倉一樹(Keyboard)で活動。

オフィシャルホームページ:
http://sho-gun.net/

 

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