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32年ぶりの新曲で“CDデビュー”!太川陽介

歌謡曲リミテッド スペシャルインタビュー

32年ぶりの新曲で“CDデビュー”!
太川陽介

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インタビュー、文/濱口英樹 公開日:2014.12.17

“持ってる男”の登場である。テレビ東京系『土曜スペシャル』枠で年に3回放映されている『ローカル路線バス乗り継ぎの旅』では高視聴率を連発。台本なしで、ルートも宿泊先も出演者が決めていく“ガチ旅”と、あの蛭子能収をコントロールする太川のリーダーぶりが注目され、今年(2014年)9月には自身初の著書『ルイルイ仕切り術:人生も会社も路線バスの旅も成功に導く40のツボ』(小学館)を出版。さらに32年ぶりの新曲「時の旅人」や、香坂みゆきとのデュエット曲「あなたとラブ・レイン」を収録したアルバム『時の旅人』を9月24日にリリースするなど、その快進撃はとどまるところを知らない。アイドル時代はレコードで発売していたために、今回の新譜は言ってみればCDデビュー。多忙を極める“時の人”に、『時の旅人』制作の経緯や、長らく司会を務めた『レッツゴーヤング』(NHK)の裏話を聞いた。

--各メディアで“再ブレイク”と騒がれていますが、ご自身はこの人気をどう捉えているのでしょう?

太川:そうやって取り上げていただくのは本当にありがたいんですけど、ブレイクというほどではないと思いますよ(笑)。

--とはいえ、初の著書と32年ぶりの新譜が同時期に発売されるなど、ここにきて注目されていることは確かです。

太川:水中に潜っていたクジラがブァ~ッと潮を吹いて出てきた感じですかね。ということは、また沈むのかな(笑)。でもやっと浮き上がってこられたから、それはやっぱり嬉しいです。この20何年間は、1年のうち半分は舞台に立っていて、「芝居の力をつけて、いつかテレビの世界に戻るぞ」という気持ちでやってきましたから。でもまさかバスの旅で注目されるとはね(笑)。「人生って分からないな」というのが、今の率直な心境です。

--『ローカル路線バス乗り継ぎの旅』(以下『バス旅』)では、筋書きのないハプニング満載のバス旅行が人気を集めていますが、太川さんの人生と重なる部分もあるのではないでしょうか。

太川:本当にそうですね。「人生は旅だ」と年上の方たちがおっしゃっていたことが、齢を重ねてようやく分かるようになったというか。今回、「本を書きませんか?」というお話をいただいて、初めて自分の人生を本格的に振り返ってみたんですけど、その作業を通じて、「旅と人生は同じだなぁ」と痛感しました。これまでいろんな乗り継ぎをしてきましたし、時には乗り過ごしたり、乗り間違えたり。高速バスよりも、あえて路線バスを選ぶような人生で、「あっちに乗っておけば、もっと楽だったかな」と思うこともありますが、もしそうしていたら今の自分は絶対にないわけですから、「どっちがよかった」とは言えませんよね。『バス旅』を始めたときも、スタッフが想定しているルートが正解なんだろうと思って「正解は?」と訊いたら「ありません」と言われたんです。ゴールできたら、それが正解。人生も同じではないでしょうか。

--今年4月には過去に放映された番組の一部(第8弾と第12弾)がDVD化されました。一方、日本テレビ系で放映されている『ぶらり途中下車の旅』では最多出演回数を誇るなど、“旅”と太川さんは切っても切れない関係のように思えます。9月発売のニューアルバム『時の旅人』も“旅”がテーマになっていますが、こちらはどういう経緯でリリースされることになったのでしょう。


1977年7月5日に発売されたサード・シングル「Lui-Lui」。

太川:本に関してもそうなんですけど、僕が言い出したわけではなくて(笑)、今年の頭くらいから周りがざわざわし始めて。最初は「Lui-Lui」の新バージョンを入れたベスト盤を出そうという話で、過去に発表した音源から選曲しようとしていたんです。でも途中で「新曲も入れよう」ということになって、その時点で「だったら新曲中心のアルバムにしよう」と言ったわけです。ベスト盤は以前にも発売されていますし、購買層がどうしても昔のファン中心になるじゃないですか。せっかく出すのなら新曲で勝負したいと思ったんですね。

--アルバムのオープニングを飾る表題曲「時の旅人」は穏やかで爽やかなポップチューン。太川さんのイメージにもぴったりです。

太川:作曲の馬場孝幸さんは僕が20歳くらいのときから、ステージでギターを弾いたり、僕の詞に曲をつけてくれたりしていた方なんです。今回、久々に新曲を出すにあたって、そういう昔の仲間と一緒にやりたいと思って依頼しました。

--その際、「こういうイメージで」みたいなリクエストはされましたか?

太川:昔は僕が先に詞を書く、いわゆる詞先で制作していたんですけど、今回は曲先で自由に作ってくださいと。但し、「カラオケでみんなが歌えるような曲に」ということはお願いしましたね。

--確かに歌いやすそうなメロディです。作詞はご自身で手がけようとは思われなかったんですか?

太川:最初はそういう案もあったんです。でも今回は勝負する以上、プロの方にやっていただいた方がいいと思って、(香坂)みゆきちゃんとのデュエット曲「あなたとラブ・レイン」を作詞した渡辺なつみさんにお願いしました。実は「あなたとラブ・レイン」の制作の方が先行していて、渡辺さんとはそのレコーディングのときに初めてお会いしたんですが、『バス旅』をよくご覧になっていて、僕のことも「“と”の発音が色っぽい」とかっておっしゃるんです。「この人、面白いな」と思ったのが詞をお願いしたきっかけですね。

--1番で登場する「陽だまり」という歌詞から、デビュー曲「陽だまりの中で」を連想してしまいました(笑)。旅番組のテーマソングにもなりそうな作品ですよね。

太川:9月に放映された『バス旅』では、番組の途中で「今回ゴールしたら、ご褒美として番組の最後で流して!」とちゃっかりお願いしたんです。幸いにもゴールできたので、流してもらうことができました(笑)。

太川陽介
『時の旅人』

9年24日発売
VICL-64225 ¥1,852(税抜)

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--2曲目に収録されている「道は続く」は杉山清貴さんの作詞・作曲なんですね。ちょっと意外な組み合わせです。

太川:僕は面識がなかったんですけど、ディレクターが杉山さんの昔からのバンド仲間というご縁があって実現しました。こちらも杉山さんらしい爽やかなナンバーで気に入ってます。

--あとは新旧の「Lui-Lui」。さらに“旅”に関連した作品が過去のアルバムから3曲収録されています。ほとんどが初CD化ですね。

太川:「もっと君らしく」(作詞:太川陽介/作曲:馬場孝幸)は人生に迷っていたとき、自分自身に向けて書いた詞なんです。言ってみれば自分探しの旅をしていたわけで、今回のテーマに合うんじゃないかと思って選びました。「僕にまかせて下さい」(作詞・作曲:さだまさし)はクラフトのカバーですが、僕がオーディションで歌った曲で、芸能界への旅が始まるきっかけとなった作品です。

--そしてボーナス・トラックとして収録されているのが、「あなたとラブ・レイン」(作曲:浜圭介)。歌謡曲ファンとしては、同じ事務所から同期デビューした香坂みゆきさんとのデュエットと聞いて嬉しくなってしまいました。お二人は『レッツゴーヤング』でサンデーズの初期メンバーとしても活躍した間柄ですよね。

太川:デュエットするなら同じ頃にアイドルだった2人が30数年経って、こういう大人の歌を歌ったら面白いんじゃないかということで企画された作品です。彼女とは旧知の仲なので、レコーディングはやりやすかったですよ。

--覚えやすくてカラオケでも支持されそうな曲ですよね。有線チャートでは早くもTOP30に入るなど、ヒットの兆しが見えています。

太川:図らずも『バス旅』で注目されたように、意外と表題曲(「時の旅人」)よりもこちらの方がヒットしたりしてね(笑)。どうなるか分からないけど、それはそれで面白いと思います。

--今回の新譜は“CDデビュー”としても話題になっていますが、久々のレコーディングはいかがでしたか?

太川:実は最初のうちはヘッドフォンをして歌えなかったんです。昔はそうやってレコーディングしていたのに、今回は片方だけ外して肉声を聴きながら歌っていて。でもしばらくしたら勘を取り戻しましたね。レコーディングが終わったあともスタジオから離れたくなくて「もう少しこの空気を味わっていたい」と思いました。みんなで作り上げていくレコーディングって、やっぱりいいんですよ。

--今後は音楽活動の旅も続けていくことになりそうですね。ところで、先ほど「僕にまかせて下さい」をオーディションで歌ったとおっしゃいました。デビュー前の太川さんはフォーク少年だったのでしょうか?

太川:ええ。「神田川」(かぐや姫)を初めて聴いたとき、中2だったのに涙を流したという(笑)。ちょうど兄貴がクラシックギターを持っていたので、それを借りて独学で弾き始めて。高校に入って自分用のギターを買ってもらってからは、友達と2人でユニットを組んでフォークソングを歌っていました。特にさだ(まさし)さんの曲がお気に入りでしたね。

(次ページへ続く)

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太川陽介

1959年、京都府生まれ。76年12月「陽だまりの中で」で歌手デビュー。77年、3rdシングル「Lui-Lui」がヒットし、レコード大賞をはじめ各音楽祭の新人賞を獲得。同年、NHK『レッツゴーヤング』の番組内グループ“サンデーズ”の初代メンバーに選ばれ、卒業後は司会を担当。86年まで番組の顔として活躍する。89年、宮本亜門演出のミュージカル『ANYTHING GOES』出演を機に舞台俳優としても頭角を現し、現在までに数々の作品に出演。TVドラマやバラエティ番組でも活躍しており、テレビ東京で不定期放送されている『ローカル路線バス乗り継ぎの旅』は高視聴率を獲得し、DVDも好評発売中。2014年9月には初の著書『ルイルイ仕切り術』(小学館)を上梓する一方、32年ぶりの新譜『時の旅人』をリリースするなど、各方面から熱い注目を浴びている。

オフィシャルブログ:
http://www.sunmusic.org/profile/tagawa_yosuke.html

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