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DJフクタケ・ロング・インタビュー Vol.2 音楽であると同時に共通言語のテレビ主題歌

歌謡曲リミテッド スペシャルインタビュー

DJフクタケ・ロング・インタビュー Vol.2
音楽であると同時に共通言語のテレビ主題歌

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取材/長井英治、鈴木啓之(ラジオ歌謡選抜パーソナリティー) 文/竹部吉晃 公開日:2015.04.10

昭和歌謡の名曲や珍曲を発掘し、時代とジャンルを縦断したアナログ7インチ・オンリーのDJミックスで話題を集めた『ヤバ歌謡』。そのDJフクタケによる第2弾『ヤバ歌謡2 NONSTOP DJ MIX -TVテーマ編- Mixed by DJフクタケ』が2月25日にリリースされた。この第2弾では60~80年代にかけて放送されたテレビ番組のドラマやバラエティ、アニメなどのテーマ曲のみがセレクトされており、「Romanticが止まらない」(C-C-B)「ガラスの仮面」(芦部真梨子)から始まり「遠い海の記憶」(石川セリ)まで計32曲がノンストップで楽しめる。懐かしい曲、忘れていた曲、知らなかった曲だけど良い曲など、いまの時代ならではの価値観で並べられた曲が、聞き手のツボを刺激する。歌謡曲リミテッドでは1年ぶりにDJフクタケに取材を行い、今作の狙いなどについて聞いた。

--前回の『ヤバ歌謡 SUPER NONSTOP MIX』から約1年ぶりの2枚目は『~TVテーマ編』。前回のインタビューのときも、いつかアニメや特撮のテレビものでまとめたいと仰っていましたよね。

DJ フクタケ:そうですね。第一弾はクラブで聴く歌謡曲を広く扱うことをテーマとしていたため、特に括りは設けていなかったのですが、第二弾はより一般の人の理解を得られるようなキャッチーな要素が必要だと思いました。いくつか候補があった中で、ライセンスの問題とかいろいろなことを考慮した結果、『~TVテーマ編』がいいのではないかということになりました。テレビアニメやドラマなどの主題歌は音楽であると同時に共通言語でもありますから、音をイメージしやすい。皆さんが親しんできた音楽をぼくがDJでつないで聴いてもらうことによって新鮮なものになるのではないか。そういう面白味があると思ったんです。

--確かに、曲のタイトルや歌っている人の名前は知らないのに、聴いたことのある曲がたくさんあって、すごく楽しめました。しかも、忘れていた曲を思い起こさせてくれました。

DJ フクタケ:自分自身、音楽体験の前にテレビ体験がありました。テレビ体験=音楽体験といいますか。自分は子どものころから家で留守番しながらテレビばかり見ていて、アニメやドラマ、バラエティ、音楽番組を取捨選択せずになんでも雑多に楽しんできました。同時にそこで流れる音楽を自然に吸収してきました。いまの自分の音楽に対するスタンスは、そのころの体験がベースになっている気がします。分け隔てなく音楽を聴くというベースは子どもの頃に観たテレビによって作られたんだと思います。

--昔は誰もがテレビっ子でしたよね。

DJ フクタケ:そのなかでも記憶に残っているのがアニメの音楽なんです。だから、今回の『ヤバ歌謡 SUPER NONSTOP MIX~TVテーマ編」は自分の頭の中の感覚にとても近いと思いますね。

--子どもの頃はアニメの曲になりますよね。

DJ フクタケ:アニメの曲はイントロのインパクトが強い。具体的に名前を挙げれば「デビルマン」や「エースをねらえ!」を書いた三沢郷さんの作品、特に特徴的なイントロ部分が大好きで、イントロを聴いただけで体が反応してしまいます(笑)。子どもの頃は詳しいことを知らずに聴いていたんですが、あとになってから作家の狙いなどに気づくんですよね。アニメの曲は何気に情報量が多くて機能性が優れている。そういう気づきの面白さがありますよね。

--アニメの曲は体に染みついていますよね。今回のCDは、曲のセレクトについてはいかがですか。大変でしたか。

DJ フクタケ:ユニバーサル・ミュージックはカタログが豊富なので、この会社だから実現した企画ということがいえると思います。でも、なかにはCDへの収録はOKであってもフル尺収録じゃないとNGという曲があったりします。MIX CD特有のそういったハードルがクリアになったものから厳選して今回は収録しています。アニメ楽曲についてはユニバーサル・ミュージックにキティ音源があったことも大きかったですね。

--なるほど。キティアニメ世代ですよね。

DJ フクタケ:世代的にはそういう世代になりますね。小学校にあがった81年に「うる星やつら」のアニメが始まって、物心ついたときからそのあたりのアニメを見て育っています。

--「タッチ」とか「めぞん一刻」とか。

DJ フクタケ:ぼくが最初に好きになったアイドルは斉藤由貴さんで、彼女は「めぞん一刻」の主題歌を歌っていました。「悲しみよこんにちは」は最高ですよね。

--名曲です。80年代に物心がついたその世代における斉藤由貴の影響力はすごく大きいですよね。

DJ フクタケ:最初に「青春という名のラーメン」のCMでファンになって、ドラマ「スケバン刑事」も毎週観ていました。そういえば、何年か前に松本隆さんの作詞活動40周年記念のコンサートを観にいったのですが、そこに斉藤由貴さんも出ていて、変わらないアイドル性に驚きました。3階から見ていてもすごいオーラを感じて、思わず「可愛い」って言ってしまいましたから(笑)。80年代アイドルの選ばれし者としての存在感が独特ですね。

--では最初に好きになったアニメはどの作品ですか。

DJ フクタケ:「ドラえもん」ですね。「ドラえもん」が始まったときは、毎週見なければならないアニメだと思いましたから。「ドラえもん」は特別なアニメでしたが、「ドラえもん」の曲が好きで影響を受けたかというとそうでもなくて、その辺は子どもゆえの気まぐれさと言いますか……。音楽単体で考えたらほかにもいい音楽がたくさんありましたから。

--あの時代だと「ルパン三世」とか?

DJ フクタケ:「ルパン三世」はオープニングだけで、ほかのアニメの曲とは違うんだなと、子どもながらにうっすら感じていました。エンディングの切ない雰囲気のサウダージ感も明らかに子ども向けではありませんでしたよね。昔のアニメの曲のエンディングは往々にして物悲しい曲が多かったですよね。

--「天才バカボン」とか「タイガーマスク」とか。先ほども言いましたが、このCDはアニメのメジャー感と主題歌の知名度が比例していないところが面白いです。

DJ フクタケ:「ガラスの仮面」は漫画のほうは有名なのに、アニメはそれほどではなくて、アニメの主題歌になるとほとんど覚えている人はいない。

--芦部真梨子「ガラスの仮面」を収録していただいて嬉しかったです(笑)。でも、80年代以前の古いアニメはどのように知ったのですか。

DJ フクタケ:80年代は昔のアニメや特撮の再評価が盛んに行われていて、知る機会は多かったと思います。一部の作品はビデオ化されていたので、レンタルで観ていましたし。あと、当時「宇宙船」という雑誌があって、そこからも情報を仕入れていました。テレビで放送されている新作アニメと同時に再放送やビデオで古いアニメを見ることができた、という意味では幸せな世代だったと言えますね。曲も同時に入ってきましたから。

--後の世代の方がかえって熱心であることが多いですよね。

DJ フクタケ:ただ、クラシックとして評価されているものを見る場合、落とし穴もあるんです。高い評価を受けている作品だからといって、ありがたがってなんでも無条件に受け入れてしまうのはよくない。でもぼくらの世代はフラットに見比べることができたのかもしれませんね。

--まさにそういう感覚で作られたCDですよね。

DJ フクタケ:大学時代、先輩に特撮やアニメに関するコアなファンが多くいて、そこで鍛えられたというのも大きかったです。単に作品の知識だけではなく、物事を楽しむ姿勢を教えてもらいました。アニメを演出家で比較して評論するとか、いまでこそみんなネットでやっていることですが、当時はまだ新しかったことで、こちらの見方しだいで昔の作品も今の作品として面白く見ることができるということを教えてもらいました。

--アニメを作家で観ることが普通になったのは90年代以降ですよね。

DJ フクタケ:あと昔はアニメのオープニング曲とエンディング曲の映像だけを集めて、ハードディスク・レコーダーに入れて楽しんでいたんです。それを観ながらひとりで家飲みをしているうちに、やっぱりアニメの曲はDJ向きなグルーヴある曲が実は多いってことに改めて気づいて、メジャー、マイナーにこだわらずこれらの曲だけでDJをやったら面白いと思いました。それから本格的にアニメやテレビ主題歌の7インチを集めだしたんです。

--アニメ関連のレコード収集はDJをやりだしてからなんですか。

DJ フクタケ:最初はただ好きなレコードを気ままに買っていました。DJをやりだした頃は12インチ中心で買っていました。でもある時期、友達の影響で7インチシングルの面白さに目覚めてからは、ある意味泥沼といいますか(笑)。アニメ曲や歌謡曲を意識しだしてからはえらいところに足を突っ込んでしまったなと……。そう思いつつも抜け出せない状況になってしまいまして……。

--7インチはLPにはない独特の魅力がありますよね。

DJ フクタケ:シングルA面とB面の2曲で成立しているところが良いんです。実用的なことを言いますと、7インチはDJのときに持ち運びに便利ですし、曲を探しやすいという利点があります。あと7インチは45回転なので音質がよくてクラブ映えがするんです。

--コレクションは膨大なんでしょうね。最近のレコード人気を実感することはありますか。

DJ フクタケ:市民権を得てきた気はします。少し前にレコードを買っているというと、「そんなものまだあるの?」みたいな反応が多かったのは事実です。でも今はまたポップなアイテムとして見直されている部分もありますね。すごくいいことだとは思うんですけど、一方で一レコード好きとしては、競争相手が増えて欲しいレコードが買いづらくなってきてしまうという一面もあります(笑)。

--痛し痒しみたいな……。

DJ フクタケ:ただ、若い人が手を出しにくいくらい値段があがってしまうことについてはかわいそうだなって思いますね。逆に若い子は誰かの価値観だけに流されてレコードを買うのではなく、自分たちが楽しめるジャンルを探して、自分たちの価値観で面白くレコードを聴いてくれたらいいかなって思います。ぼくも90年代初頭にテクノ歌謡系のレコード買い出したときは、値段が本当に安いレコードばかり集めていました。レコードのクレジットを見ながら、自分なりの価値を見出していたんです。

--フクタケさんの和モノDJはテクノ歌謡から始まっているんですよね。

DJ フクタケ:DJ自体は洋楽のテクノとそのルーツのエレポップがきっかけでしたが、その後いまテクノ歌謡と呼ばれているジャンルのレコードを掘り起こしていくうちに、日本の歌謡曲と洋楽のダンスミュージックの親和性に気づきだしたんです。それで実際にDJをやりだしたのが94年から。そこでクラブミュージックの文脈に歌謡曲を乗せることに楽しみを覚えたんです。渋谷系のDJの人たちは古い音楽をクラブミュージックの文脈でかけていて、そこにヒントを得て、もっと最近の曲、しかも歌謡曲でやってみたら面白いんじゃないかと思って、始めたんです。

--渋谷系全盛時代の中で歌謡曲とは異色だったと思いますが。

DJ フクタケ:まだその頃はクラブで日本語の曲をかけることが憚られる雰囲気がありました。お店側から「勘弁してください」と言われるくらいでしたから。

--渋谷系の人たちが60年代や70年代の洋楽のレコードをレアグルーヴといって盛り上がっていた時代ですよね。

DJ フクタケ:そんななか、自分が買っていた80年代の邦楽のレコードは二束三文だったんです。いまでは80年代のレコードもすっかりヴィンテージですが。どの時代も安くて手に入りやすいものにも面白いものがあると思って買っていたほうが健全ですよね。

--このCDの1曲目がC-C-B「Romanticが止まらない」。前回が中原めいこ「君たちキウイ・パパイア・マンゴーだね」。1曲目の重要性を感じます。

DJ フクタケ:1曲目はキャッチーであることが大事だと思っているんです。歌謡曲のDJ MIXはメジャーでは前例のないCDなので、商品としてのつかみはちゃんとしたほうがいいと考えています。つまり、みんなが知っている入りやすいところから聴いてもらって、聴き進めるうちに、知らないけどもいい曲が入っていて、「このCDいいじゃない」って思ってもらいたい。

(次ページへ続く)

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DJフクタケ

1990年代より、DJとして“テクノ歌謡”のジャンル概念をいち早く提唱。1999年にコンピレーションCD『テクノ歌謡コレクション』シリーズ(P-VINE)を、選曲家チーム"8-bits"の一員としてコンパイル。現在は、渋谷アシッドパンダカフェを拠点に都内クラブのJ-POP・和モノ系DJパーティや80's洋楽系イベントを中心にプレイ。また、1960~80年代のオールドスクールなアニメ・特撮楽曲をレアグルーヴ的解釈でアナログ7インチ シングルレコード(ドーナツ盤)にこだわりDJプレイする“まんがジョッキー”としても活動中。2013年からは(有)申し訳 代表取締役 ミッツィー申し訳 a.k.a DJ Michelle Sorry とのコンビによるアナログ専門B2B(Back to Back)ユニット “Do The Negative Thinking!!!”も展開中。

オフィシャルサイト:
http://www.universal-music.co.jp/dj-fukutake/

Twitter:
https://twitter.com/DJ_fukutake/

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