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星屑スキャット(ギャランティーク和恵) 結成10周年を迎えた星屑スキャット意欲作「ご乱心」

歌謡曲リミテッド スペシャルインタビュー

星屑スキャット
(ギャランティーク和恵)

結成10周年を迎えた星屑スキャット意欲作「ご乱心」

取材・文/竹部吉晃、長井英治 公開日:2015.12.4

ミッツ・マングローブ、ギャランティーク和恵、メイリー・ムーによる星屑スキャットの2年半ぶりのニューシングル「ご乱心」が11月18日にリリースされた。待望の新曲はヒットメイカーとして知られる作詞家・森雪之丞とのコラボレーションが実現、森雪之丞の一流の言葉選びと現代的なアレンジが施された煌びやかなサウンドとの相性が抜群の意欲作だ。歌謡曲の枠を超えた今までとは一味違った星屑スキャットを聞かせている。今回、ギャランティーク和恵に、新曲「ご乱心」にまつわる制作秘話と結成10周年を迎えた星屑スキャットについて聞いた。

噂が噂を呼んで「ご乱心」を流行語に!

--前作の「コスメティック・サイレン」から2年以上が経過しましたが、この度ようやく待望のシングル「ご乱心」がリリースされました。

ありがとうございます。ようやく新曲が完成しました。時間がかかった理由はいろいろあるんですが、いちばん大きいのはこの曲が三度目の正直と言いますか。これまでの2枚のシングルはもちろん自信作ではあるんですが、今回はさらにもっと多くの人に私たちの歌を広く伝えたいと思いまして、そのためにはどうしたらいいのか、ということをしっかり考えて、アイデアを練って、良いものを作ることに集中したら、2年という時間が経ってしまいました。

--具体的にはどういうことでしょうか。

今回のシングルでは私たちのことを客観的に見てくださるプロデューサーさんや作詞家さんと一緒にお仕事をさせていただきました。

--ほかの人に任せることはかなり勇気のいることだったのではないでしょうか。

勇気がいりましたし、3人がまとまるのも一苦労でした。三人三様で捉え方が違うので。ミッツさんはセルフプロデュース力のある人で、自分でいろいろなことを積極的に考える人。歌詞も書かれますし。メイリーさんは与えられたものを自分なりに表現していくことが好きなタイプ。私は自分のスタイルにはこだわるけれども、他の人が作ってくれたものを演じていくことがわりと好きなんです。でも今回、外部プロデューサーを立てたことは、私たちの今までのこだわりや思い込みからの脱却が試されたところがあったと思います。

--どのように作業を進めて行ったのでしょうか。

今回プロデュースをしていただいたのは河合誠一マイケルさんという、ユニコーンやプリンセスプリンセスなど多くのアーティストを手掛けられた大御所のプロデューサーさん。

--ヒットメイカーとして知られていますよね。

その河合マイケルさんから「こういう路線はどうですか?」、という具体的な提案をいただき、そこから曲作りや曲選びが始まっていきました。いままで自分たちがやってきた歌謡曲路線には特にこだわらないつもりだったんですけど、いろいろな候補曲があったなかで、最終的には歌謡曲的なメロディの曲を選んだ気がします。

星屑スキャット
『ご乱心』

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<曲目>
1.ご乱心
 作詩/森雪之丞 作曲/石川恵樹 編曲/中土智博
2.REMEMBER THE NIGHT
 作詩/星屑スキャット 作曲・編曲/中塚武
3.ご乱心 (Inst.)
4.REMEMBER THE NIGHT (Inst.)

--歌謡曲とデジタル・サウンドが融合した新しい星屑スキャットを感じます。でもそれはアレンジ面から感じるもので、当初は従来の歌謡曲路線だったのでしょうか。

デモの段階からすでに今の形に近い感じではありました。オリエンタルな雰囲気があって。こういう曲調だったら、私たちもそれに合わせた情熱的なものを作れるんじゃないか、とイメージできたんです。

--確かに久保田早紀の「異邦人」を彷彿させるところはありますよね。そこに森雪之丞さんが言葉を乗せてくれたと?

そうです。以前から、もし星屑スキャットが作詞家さんに書いてもらえるとすれば、森雪之丞さんがいいなって、私が勝手に思っていたんです。そうしたら、河合マイケルさんやレコード会社のディレクターさんも偶然同じことを思っていたそうで、本当に森雪之丞に書いてもらえることになったんです。嬉しかったですね。

--森雪之丞さんで思い浮かぶ作品はありますか。

真っ先に思い浮かぶのはシブがき隊の一連のヒット曲ですよね。森雪之丞さんのシャレの効いた言葉遊びは当時から大好きでした。

--最初に「ご乱心」という言葉が入ったときはどう思われましたか。

ここに「ご乱心」という言葉を入れるんだ。と驚いたのと、「これだ!」って思いました。かなり衝撃的でした。皆が知っていて思わず使いたくなる「ご乱心」という言葉選びのキャッチーさこそ森雪之丞さんですよね。ほかの部分の韻の踏み方も素晴らしくて、その現役感に感心しましたし、感動させられました。

--プロの作詞家の仕事ですよね。

私たちも過去にこの曲と同じような、30代から40代にかけての女性をイメージした、仕事や恋愛にまつわるテーマは取り上げてきましたし、今回のカップリングの「REMEMBER THE NIGHT」でもそういうテーマの歌詞を書いているんです。でもやはり森さんの世界とは違いますね。2曲を聴き比べても面白いかと思います。

--「ご乱心」の歌詞の中で好きなフレーズはありますか。

「ダメダメ姫君」ですね(笑)。ここにとくに森さんの世界を感じるんです。私の好きな近田春夫さんにも通じる部分ではあるんですけど、ああいうくすぐり方をしてくる歌詞が好きなんです。

--あとは、「目にゴミ入っても今は 泣かないわ」「目に汗入っても今は 泣かないわ」「目に虫入っても今は 泣かないわ」というところもしびれますね。

そうですよね。そこも歌詞をいただいて最初に目にしたときに「キャッ!」として気持ちが上がった部分です(笑)。私は、POPなものとして大事だなと思うことで、100%きれいでカッコいい言葉で埋められた歌詞よりも、カッコつけているんだけど、少し抜けたところもあって、クスッと笑えるくらいの歌詞が好きなんです。そういうほうがフックがあって、耳や心に引っかかってきますよね。写真とキャッチコピーで魅せるような、広告のポスター的インパクトに似てると思います。

--森雪之丞さんが書かれたシブがき隊のデビュー曲「NAI-NAI 16」の歌詞「授業中に手をあげて 俺を好きだってもし言えたら 抱いてやるぜ」ってかなり強烈で、おかしさがこみあげてきますよね。

それを言ってしまうとカッコいいんだか悪いんだか分からない、マジなんだか、ワザとなのか分からない。でも、そんな気持ちいい間抜けさを重ねることで、むしろカッコよく見えたり、悲しく見えたり、美しく見えたりするんですよね。森雪之丞さんは、そういう部分を意識して挑戦的に書かれていたと思うんです。

--そしてレコーディングですが。どんな感じで歌おうと思いましたか。

この曲に関してはあまり感情を入れたりせず、クールな感じのほうがいいのかなと思って、特にビブラートもつけずに歌っているんです。

--デジタル・サウンドに合わせてボーカルにエフェクトをかけていますしね。分かりやすく言えばパフューム的と言いますか。

そうですよね(笑)。そこは今のJ-POPとしてリリースする上で、他と遜色ないものにするためのひとつの努力だと思います。でも、私たちは70年代から80年代にかけての日本の歌謡曲が好きで歌い始めたので、いくら今の流行のサウンドになっても、自分たちが歌えばそういうテイストは滲み出てくるだろうということは分かっていましたので、そこは抵抗なくレコーディングに入りました。どんなふうに調理されても私たちの歌謡曲好きの血は曲中に織り込まれていくんです。

--3人の歌い分けはどのように決めたのでしょうか。

メイリーさんが主旋を歌っています。今まではミッツさんが主旋を取ることが多かったんですが、今回は最初の段階からメイリーさんの突き抜けるような声をいかしてみようと言うことになっていたんです。そこも新しい星屑スキャットとしてのアプローチでした。だから曲としての質感が今までとは全然違いますね。あとは、これまでは歌詞を3人で歌い分けたり、何かとハモったりしていたんですけど、今回はあまり歌い分けずにユニゾンで歌う部分も作りました。Bメロだけ歌い分けて、コーラスをかぶせているんですが、ここはこれまでの星屑スキャットぽさと言えますね。

--PVでは和恵さんがセンターですね。

最初はメイリーさんをセンターにしようということになっていたんですが、体型の問題で私がセンターになってしまいました(笑)。ミッツさんもメイリーさんも私より縦なり横なりに大きいんで、私が真ん中で少し前に立って、両サイドに二人がいるほうがバランス的にベストなんです(笑)。

--CDジャケットのメイクやデザインなどのアート・ディレクションは和恵さんがやられているとのことですが、こちらもオシャレですね。

私がデザインする星屑のジャケット写真は化粧品のポスターみたいになってしまうんです。私がそういうデザインが好きというのもありますし、結局女装は化粧ですからね。どうしてもそういう雰囲気に仕上げたくなります。いつもミッツさんとメイリーさんにも意見を聞いてからデザインを考えはじめるんですが、今回はミッツさんから、紙を破ったような感じで「ご乱心」感を出したいというアイデアをいただいたので、それを汲み取って作ってみました。

--これは3人それぞれの「ご乱心」ポーズなんですね。

最初は普通に綺麗な顔をして撮影していたんです。でも途中から「ご乱心」感が足りないと言うことになり、思い思いに「ご乱心」を演じていきました。いい感じに「ご乱心」顔が撮れたんですが、選んでいたらあまりにもひどすぎて使えないのばかりで、結局ちょっとご乱心、くらいの表情に落ち着きました(笑)。それをバランス良く組み合わせてデザインしたんです。

--歌詞を読むと、この女性はかなり怒っていますからね。

腹が煮えたぎっているくらい怒っているんだけど、その気持ちを抑えてクールに見せて、品を保つ姿がこの歌詞の女性像なんだと思うんです。なので、結果そういう表情になっているのかなとは思います。

--こらえる顔はキレイだったりしますからね。演技力が求められましたね。

私たち3人は女優ですからね(笑)。

--PVはどのように撮られたのでしょうか。

フリを考えているときに「ご乱心」とか「姫君」という言葉から和風のイメージで、歌舞伎風の動きを入れようという話になったんです。あと、フリのコンセプトのひとつに「女狐」という裏テーマを自分たちで設定して、手で狐を作るフリを入れたりして。撮影直前にようやく出来上がり、当日になって「今日の撮影場所はどこだっけ?」と調べたら渋谷の「KITSUNE」というラウンジバーで、その偶然の一致にすごくびっくりしました(笑)。

--先ほどの森雪之丞さんの話と同じような話ですね。

そうなんです。早い時期に、撮影場所を教えてもらっていたんですが、すっかり忘れてしまっていまして(笑)。

--カップリング「REMEMBER THE NIGHT」はステージではお馴染みの曲で、今回待望のCD化となりますね。

2年くらい前からステージの最後に歌っている曲です。「この夜のことを忘れないでください」という気持ちで。星屑スキャットの定番で、ファンの人にも好評をいただいていて、今回ようやく音源にすることができました。この曲は中塚武さんに作曲をお願いしたんですが、そもそもこの曲をどんな感じにするかを考えたとき、昔のヴィレッジ・ピープルのようなマーチっぽいディスコにしたいという希望があったんです。

--後期ピンク・レディみたいなノリもありますね。

その頃のピンク・レディはいいですよね。「イン・ザ・ネイヴィー」とか「フェーム」とか大好きです。あと、日本人は哀愁的ディスコが好きなんでしょうね。刹那といいますか。クラブという場所自体が刹那な印象がありますけど、その感じとディスコの疾走感やマイナーのコード感はすごく相性がいいんだと思います。星屑スキャットとの相性もよくて、歌っていて気持ちがいいです。

--星屑スキャットはカバーもオリジナルもすべてレベルが高いですよね。カバーの選曲センスも素晴らしいと思います。

元々、星屑スキャットは私たちの好きな歌謡曲を季節やテーマやショーに合わせて選んで歌ってきました。ステージの構成を考えて選曲してきたので、曲は私たちのショーの1シーンを演出するひとつのピースなんです。それを並べることでステージが成立しています。いまはオリジナルが少ないのでカバーも多いですが、ただ好きだから歌っているのではなくて、そのシーンにはまる曲を考えて選曲しているんです。そんな中で、オープニングとして欠かせないピースとして作られたのが「星屑スキャットのテーマ」で、今回の「REMEMBER THE NIGHT」はエンディングに必要なピースとして作ったところもあります。だから、カバー曲の選曲とオリジナル曲の制作とステージ作りは密なものとして考えています。

--なるほど。来年3月には10周年記念コンサートが予定されていますね。

そうなんです。10年やってきた節目として、3月に大きな会場でコンサートをやることになりました。まだ3人でコンサートの話をしていないので何も決まっていないんですが、何をやりましょうかね……。とりあえず今まで作った衣装を全部着倒すとか(笑)。歌って踊って着替えるのも星屑の見どころですからね。

--それは楽しみです。10周年を振り返ると長かったですか。

長かったんでしょうね。10年の中でもいろいろな時期がありましたから。その時々で状況が違うので、最初の2年間なんて、何をやっていたんだろうというくらい、思い出せないんです。しょぼいホームパーティーのような飾りをつけてカラオケを歌うイベントからスタートして、それが徐々に大きくなっていったわけですから。日本コロムビアさんにお世話になって、オリジナル曲というものに向き合うようになったのもここ4年ですから、そう考えるとやはり10年は長かった気がしますね。

--10年前にいまの自分たちが想像できていましたか。

それはどうですかね。よく分からないです。私たちは小さいクラブでやっていたときでも、見ている人に楽しんでいただきたい、そして多くの人に歌を聴いてもらいたい、という部分では一致していたとは思いますが、将来のビジョンは3人全く同じではなかったと思います。そういう意味では意見のぶつかり合いもありましたし。

--解散の危機は?

それは何度もありました(笑)。ただ、私たちのもめ方の表現は三者三様なので、危機にもいろいろありました。思い返せば、私がいちばんのご乱心物件で解散危機の元だったかもしれない(笑)。メイリーさんはメイリーさんで静かにご乱心を起こすわけです。逆にミッツさんは大人で冷静に物事を見ていて、二人のご乱心の対処法を心得ているんです。火が落ち着くまで下手に触らないと言いますか。でも10年経って、3人とも自己主張はあるけれど、私たちも大人になって、ご乱心召されることなく、やり続けることができていると思います。

--「ご乱心」という言葉がこの曲のヒットで流行語になるといいですね。

そうなんです。新曲のタイトルが決まってから、リリースまでの期間が長かったので、その間ふとした拍子で「ご乱心」という言葉が流行語になってしまったらどうしよう、なんて心配したりしました。他で流行語になる前に早く、私たちがリリースしなければって(笑)。

--珍しい言葉ではないから誰かが先に出してしまう可能性もあったわけですよね。

ようやくシングルが出ることになってほっとしています(笑)。噂が噂を呼んでヒットして、本当に「ご乱心」が流行語になればと思っています。多くの人の耳に届くように一生懸命歌っていきますので、よろしくお願いします。

星屑スキャット

ミッツ・マングローブ、ギャランティーク和恵、メイリー・ムーの3人によって、2005年に結成された『音楽ユニット』。新宿2丁目を中心とした活動をする中、全国各地でのイベント出演やコンサート開催を経て、よりエンタテインメント性の高いグループへと成長。時代やジャンルを越えた幅広い歌謡曲を、それぞれの個性豊かな歌声と洗練されたハーモニーで魅せる唯一無二の世界観に、さらなる注目が集まっている。

ミッツ・マングローブ……歌手、ドラァグクイーンとしてステージに立つ傍ら、テレビタレントとして様々な番組で活躍中。
2011年3月「若いってすばらしい」で、念願のCDデビューを果たす。ソロ歌手活動と並行して、2012年は星屑スキャットとしてもCDデビュー。

ギャランティーク和恵……2002年、歌手活動をスタート。歌謡曲を懐メロとして捉えることなく選曲し唄うスタイルを特徴とし、都内を中心にライブ活動を行う。最前線で活躍するミュージシャン、クリエイターと共に、現代的で華やかな世界を追求し、セルフプロデュースによるリサイタルも精力的に開催している。
また、新宿ゴールデン街のバー「夜間飛行」のオーナーとしての顔も持つ。

メイリー・ムー……2005年、ミッツ・マングローブ、ギャランティーク和恵とともに星屑スキャットを結成し歌手活動開始。
沖縄出身。百万ドルの笑顔で老若男女を魅了している。2012年春、念願のソロ・デビューも果たした。

オフィシャルサイト:
http://columbia.jp/hoshikuzu/

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