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昭和最後のキラ星、なかの綾 初のオリジナル楽曲中心となる3rdアルバムをリリース!

歌謡曲リミテッド スペシャルインタビュー

昭和最後のキラ星、なかの綾
初のオリジナル楽曲中心となる3rdアルバムをリリース!

取材・文/鈴木啓之 公開日:2016.06.17

2010年のアルバム・デビュー以来、昭和の歌謡曲カヴァーを斬新なアレンジで歌い続け、抜群の歌唱力と魅惑のルックスで現代の歌謡曲シーンを牽引してきたなかの綾が、前作『わるいくせ』から1年9ヶ月ぶりとなるアルバム『エメラルド・イン・パラダイス』を発表する。林哲司が作曲した先行シングル「じゅうくはたち」や、杉真理から提供された「エピソード1」をはじめ、全10曲中8曲がオリジナルという新機軸で勝負をかけたアルバム。お馴染みのカヴァーもキラー曲×2が収録されている。はせはじむプロデュースによる完全無欠の3rdアルバムのリリースを目前に控えた歌姫に、現在の心境を伺った。

--今回のアルバムのレコーディングにはどれくらい時間をかけられたんでしょうか。

なかの:シングルとかであらかじめ先に数曲録っていたものがあって、それに4~5曲足した形になるんですかね。それでも結局1年位はかかったんじゃないかと思いますけれども。

--今までのアルバムはカヴァーで構成されていましたが、今回は初めてオリジナル曲が中心ということで。

なかの:やはりオリジナルなので、今まで以上に妥協はしたくないっていう制作サイドの意向もありますし、これまでは職業作家の方が作られて、なおかつヒットしたものを歌っていたのに対して、今回は真っ新なところからっていうので、だいぶ苦戦はしましたね。カヴァーの場合はいかに原曲から離れるかとか、このアレンジだったらこんなキャラクターを落とし込めばいいんじゃないかと考えながらヴォーカルを充てていたものが、今度は新たなアイデンティティーを探す旅といいますかね。選択肢が無限にある分、じゃあどれが一番いいんだろうというのがなやみどころではありましたね。

--含まれているシングルの内、先に出ていた「エピソード1」は杉真理さんの曲ですよね。

なかの:杉さんに曲をお願いするにあたって、失礼を承知の上で、「『ウイスキーがお好きでしょ』みたいな曲を書いて欲しいです」って申し上げたんですよ。「とにかくお酒に合う曲を。もう『ウイスキーがお好きでしょ』が大好きなんです!」と凄くストレートにお願いして。なので歌詞にも世界観が繋がる部分があったり、メロディーも杉節がはっきりしていて、1回聴いたらすぐ覚えてもうラララで歌えるような。さすがだなと思いました。曲が出来てきた時は、杉さんから見てなかの綾はこういう印象なんだなということを思いましたね。杉さんの作品は明るくてポップな曲が多い中で、「ウイスキーがお好きでしょ」はCMのために作られた、異色な作品の部類に属すると思うんですけど、そこにもう一度挑戦していただけたのが嬉しかったです。

なかの綾
『エメラルド・イン・パラダイス』

6月15日(水)発売
HCCD9573 2800円(税抜)
VIVID SOUND / HIGH CONTRAST

amazonで購入する

<収録曲>
01.じゅうくはたち
02.シャングリラ
03.KISS feat. CENTRAL
04.午前2時では早過ぎて
05.エピソード1
06.スキャンダル
07.曲がれない角
08.グッド・バイ・マイ・ラブ
09.I'm Still Fallin In Love
10.またひとりになって

--普通は作品が生みだされる際、そういった歌手の方と作曲家や作詞家の方とのコミュニケーションって意外と無いじゃないですか。それがずいぶん密だったんですね。最新シングルの「じゅうくはたち」の林哲司さんともそういうやりとりがありましたか。

なかの:林さんとは一回しかお会いしてないんじゃないかしら。その中で、「どういう」音楽を聴いてたの?」とかいろんなお話をさせていただいて、林さんは、演歌・歌謡曲という音楽は子供の頃に親が聴いていたから自分も耳に入っていたけれど、それが嫌いだったから洋楽を勉強して、そのエッセンスを採り入れた楽曲を作ってきたんだと。そのオレに今、歌謡曲を書いてって言うのかい?って言われて。そこをあえてなんです、林さんがダサいと思われるような歌謡曲を書いて下さいとお願いしたんです。心のどこかでちょっと馬鹿にしてるようなところがある反面、実際にはDNAに組み込まれているものだろうから、それをやってみた時の化学反応を見せていただけないかというお願いをしました。

--林さんの作品の中で、なかのさんがお好きな曲はなんですか。

なかの:杏里さんの「悲しみがとまらない」とか、松原みきさんの「真夜中のドア」が好きで、カラオケでもよく歌わせていただいておりました。今回書いていただいた「じゅうくはたち」は、そういった作品とはまた違うタイプの曲ですから、林さんも無理な注文にずいぶんと首を傾げながら作られたんじゃないかって思うんですけれども。

--プレスリリースには“超絶グルーヴィーなズンドコ歌謡”と書かれてますね。

なかの:昭和の時代はそういう表現がピッタリくる曲がたくさんあったじゃないですか。それをより大袈裟にしたかったっていうところはありますね。自分は“ズンドコ”って聞いただけで、なんとなく気恥ずかしくなってしまう世代だと思うんです。その恥ずかしさを前面に出しつつもカッコよく歌いたいという。真面目に歌謡曲が大好きで、この素晴らしい楽曲に取り組んで、というんじゃなくて、もう笑いましょうみんなで。これは面白いものなんです。と開き直ることで、自分と同世代、さらに下の年齢層までにも受け入れられるんじゃないかなと思ったんですよ。

--ある程度の年代であれば歌謡曲はこういうものだと解りますけど、そうでないと入口からもう抵抗があるかもしれませんよね。

なかの:そうなんですよ。きゃりーぱみゅぱみゅとかを聴いてる世代の方々にどうしたら受け入れてもらえるか。かと言ってPerfumeみたいな感じで攻めるのは私のキャラクターでは難しいので、どちらかというとイメージ的にはゴールデンボンバーのような感じでいけばいいのかしらとか、いろいろ考えまして。色物感を漂わせることでとっつきやすくなってくれるのかなっていう(笑)。

--色物感は全然ないと思いますけれども……。アレンジは最初からラテンな感じだったんでしょうか。

なかの:林さんが最初に曲を上げてきて下さった時にはもっと正統派な、タンゴみたいな感じで。プロデューサーがこれだとちょっとカッコよすぎるということで、もっと親しみやすい今のアレンジになったんです。曲の構成が、Aメロ~Bメロ~Cみたいないかにも歌謡曲的な枠には収まらない不思議な感じが、やっぱり林哲司さんならではの曲なんだろうなと解釈しています。だからこそいわゆるサビの辺りが余計に際立って、歌っていても悲哀を込めやすい部分ではあります。

--シングル盤ではそのカップリングが「KISS」ですよね。アルバムの中では数少ないカヴァー曲になるわけで。やはりカヴァーはなかのさんの真骨頂という感じがします。

なかの:私、今まで人が幸せになる曲を歌ったことがなかったんです(笑)。それが初めて人の披露宴でも歌える曲が出来ました。ただ、デビューから6、7年経って、周りの友達はだいたい嫁に行ってしまったわけなんですけれど……。今後この曲を歌う機会はなかなかないなと思いながら(笑)。

--こういった幸福感のある曲は、ご自分で歌われていても幸せな気持ちになるものでしょうか。

なかの:誰も傷つく人がいないっていいなと思いますね(笑)。ライヴをしていても、おそらくご自分の恋に歌を重ね合わせて、感極まって泣いてらっしゃる方も結構いらして。そこまで感情移入をしていただけるのは嬉しいんですけど、ただもうちょっと人を笑顔にする様な曲も歌いたいなっていう思いはずっとありまして。「KISS」は前回のライヴで歌わせていただいた時に、客席の空気に幸福感といったものを凄く感じて、今までとは違うなと思いましたね。

--カヴァーとしては比較的新しい曲ですから、リアルタイムで聴かれていたわけですよね。

なかの:自分が二十歳前後の頃に流行った曲で、カラオケでも歌ってましたね。(オリジナル歌手の) Crystal Kayさんとは同い年なんですよ。ただこの曲も失恋している人が聴いたら逆にとっても悲しい曲なので、そこはブレてないんじゃないかっていう思いも実はあるんです。カヴァーではもう1曲「グッド・バイ・マイ・ラブ」。これも好きでよく歌っていた曲なんです。スウィング感のあるアレンジで。でも、今回はオリジナルのアルバムを出すにあたって、昭和歌謡という括りや、昭和っぽさから一旦離脱したいと思って制作に入ったんですよ、実は。ですけど、気づいたらどんどん引っ張られていって、結果的には凄く昭和なものに仕上がってしまったっ感じなんですけど。

--聴かれる方の受け止め方にもよると思いますが、僕らはそれほど昭和な印象は受けませんでしたよ。全体に漂うゴージャス感と艶のあるヴォーカルに、なかのさんにしか表現出来ないものを感じました。特にアルバム終盤の盛り上がりは圧巻ですね。「I’m Still Fallin In Love」ですとか壮大ですよね。

なかの:これはプロデューサーのはせはじむが『ジャージーボーイズ』を観て、その中で歌われる「君の瞳に恋してる」の様なものを作りたいってことで出来たんです。映画の中で一人でアカペラで歌っていると、幕がバッと下りて、バンドでドカンとやるみたいな。その感じを出したいっていうことでした。レコーディングの時はいつも、ヴォーカルのイメージを歌手の方の名前を出しながら、これは美空ひばりさんかしらとか、平山みきさんで、とかいろいろ思い描きながら臨むんですけど、この曲は前田美波里さんでいこうと。だから宝塚というか、ミュージカルっぽい感じがするでしょう。

--「曲がれない角」では作詞に初挑戦されていますね。

なかの:前にバンドでやっていたナンバーで音盤化されてないものはあったんですけど、正式なレコーディングでは今回が初めてで、ちゃんと真面目に書いた感じです(笑)。最初に書いたものから何度か書き直して、三回目くらいでもうこれ以上やるとワケがわからなくなるからこれで決めようということで留めて。詞を書くにあたっては、紙に言葉をいっぱい書き出しました。こういうシチュエーションの時はどういう気持ちになるんだろうと思いながらバーッと書き出して。イメージとしては竹内まりやさんの「駅」が頭の中にありまして、そこから発想を拡げていった感じですかね。書くために悲しい映画を観たり、本を読んだり、最後には自分の実体験から出てくるものなので、なんとなく落ち込む時間があったりして。去年あったひとつの失恋を300倍くらいに膨らまして書いた感じですね。結構時間はかかりました。

--普段、歌われている時に、ご自分の実際の恋愛感情を歌に込められることはあるんですか。

なかの:うーん、やっぱり歌っている最中に思い出しますね。この曲はこの時のあの人の感じだな、とか。それでその情景を朧げに頭の中に浮かべながら歌う様にはしてます。語り部みたいな感じで。音程を合わせるとか節回しとかじゃない何かが歌に出るかなと思って。なんか絵本の読み聞かせをしている様な感覚になる時がありますね。

--今回のアルバムのお薦め曲というとどの辺りになるでしょうか。

なかの:それはもう自分が書いた曲になるんじゃないでしょうか(笑)。それを別とすれば、特に聴いていただきたいのは「スキャンダル」ですとか。これはトロンボーンで参加していただいているサスケさんに曲を書いていただいたんですけど、80年代感、バブル感が凄い! ということで、全国のスナックで流行らせたいという野望を抱いておりまして。ちょっと時代遅れな髪型をしたお姉さんが歌っていて、ネクタイがヘロヘロになったお客さんが踊っている姿が目に浮かぶナンバーだね、っていう話をしながらレコーディングさせていただいたので。一番下世話な感じを一手に引き受けてくれてるのがこの曲なんじゃないかと思いますね。もうやってられないわ、帰って泣こう、みたいな(笑)。肩で風切って夜の街を闊歩してるホステスさんの感覚ですね。バブル時代への憧れみたいなものは凄くあって、お客様に誕生日にプレゼントしていただいたメロンにブランデーを入れて飲んだことがありますよ。ブランデーはヘネシーで。これがバブルかーってという疑似体験をさせていただきました(笑)。

【ライブ情報】

なかの綾 「エメラルド・イン・パラダイス」ツアー

東京 2016年7月10日(日)@東京キネマ倶楽部
大阪 2016年7月20日(水)@BERONICA
http://www.nakanoaya.com

なかの綾

1985年5月7日生まれ。京都府出身。2010年 デビュー・アルバム『ずるいひと』をリリース。限定リリースした7インチ・シングルは各レコード・ショップのチャート1位を独占するなど、クラブシーンから絶大なる人気を得る。2011年 WOWOWで放映された「R60 スネークマンショー」に出演し、桑原茂一の演出で伊武雅刀、小林克也と共演。2013年6月「NHK歌謡コンサート」に出演。同年7月、ユニバーサル・シグマよりミニ・アルバム『へたなうそ』でメジャー・デビュー。同年12月、ジャズ専門誌「JAZZ JAPAN」1月号の表紙を飾る。2014年6月、7インチ・シングル『ちょっと待って下さい』をリリース。9月3日に2ndアルバム『わるいくせ』をリリース。ジャケットは大友克洋氏が手掛ける。2015年10月7日 「ウィスキーがお好きでしょ」を手掛けた杉真理と田口俊の作詞作曲によるシングル『エピソード1』をリリース。FMヨコハマにて毎週水曜日24:00からレギュラー番組「今夜もおきばりさん!」のメイン・パーソナリティーを務める。

オフィシャルサイト:
http://www.nakanoaya.com/

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