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ゴッホの休日 feat. 馬場ふみか 新世代の異色ユニットによる伊勢佐木町・ニュー・ブルース完成

歌謡曲リミテッド スペシャルインタビュー

ゴッホの休日 feat. 馬場ふみか
新世代の異色ユニットによる
伊勢佐木町・ニュー・ブルース完成

取材・文/久保田泰平 公開日:2016.09.28

ゴッホの休日という音楽チームをご存知だろうか? 東横線をテーマにした短編音楽集『トレイン』を2013年に発表して以降、スロウペースながら“街”や“日常”に寄り添うサウンドトラック風情のファンタジックな作品を重ねてきた彼ら。ソングメイカーの田中佳祐を中心に、作品のテーマに合わせてメンバーを集めていくという“遊牧民”的音楽チームだが、この夏にデジタル・リリースされたシングル「SHADoW」は、かの「伊勢佐木町ブルース」(※)の現代版というテーマで編まれた興味深いもの。エレクトリカルなビートを絡めたそれは、いわゆる“歌謡曲リバイバル”とは趣きの異なるモダンなアレンジで、伊勢佐木町に漂うムード、ひいては歌謡曲が持っていた“ムード”を重点的に楽曲へと溶け込ませたものだ。そして、この曲でヴォーカルとして招かれたのは、グラビアでの人気も高い女優/モデルの馬場ふみか。これまで、公の場で歌声を披露したことがない彼女とのコラボレーションによって、ここではちょっとした奇跡が起こっている。

※青江三奈、昭和43年のシングル(作詩・川内康範/作曲・鈴木庸一)。曲中での“ため息”が性的な想像を掻き立てると一部局では放送が規制されたこともあったが、100万枚を越える大ヒットとなる。彼女の没後、2001年には伊勢佐木町4丁目に歌碑が建立された。

--まずはゴッホの休日のことからお話を伺いたいんですけど、どういう流れで始まったチームなんですか?

田中佳佑:もともとは2012年に東横線の渋谷駅が閉鎖する(地下に潜る)っていうところから、まわりのみんなで東横線をテーマにした曲を作りたいねっていう話をしていて。それでまあ、東横線の渋谷から横浜までの30分を描いた『トレイン』っていう短編音楽を作って。

--メンバーの住まいが東横線沿線で?

田中:僕は生まれてからずっと東横線沿線で暮らしていました。メンバーも皆、横浜に住んでいて。僕も含めて、普段仕事もしているので、あまり継続的には活動できない、毎日会って練習してっていうのもたいへんなので、作品を出すからには一曲一曲に意味を持たせたいと思って、街であったり乗り物であったり、日常の導線上にある部分に紐付けて音楽を作っていきましょうっていう感じで今に至ってます。

--それまでの音楽活動は?

田中:表立ったことはほとんどしてなかったです。一緒にやってるメンバーも、高校の友達とか大学の友達とかっていう感じで、波長が合う仲間が集まったっていう感じで。飲みながらこんなことやってみる?って、おもしろがってくれた人たちとやってるみたいな。バンドが成長していく姿を見せていくというか、ストーリーを見せることも大切だと思うんですけど、活動の都合上そういうこともできないので、だったら演劇とか映画のように一作一作に応じたメンバーで作っていこうと。

--去年の夏に出ていたアルバム『ロング・ロング・タウン』も聴かせていただきましたけど、映画のサントラっぽい雰囲気があるなあと思いました。

田中:そう思ってもらえたらうれしいですね。ストーリーも描きたくて、それでCDに絵本を付けたりしたんです。やはり、買って意味のあるものアルバムにしたいというのがあって、配信でバラ買いできる時代だからこそ、あえて。

--なるほど。そういうお話を聞くと、田中さんはアナログ時代ど真ん中の方なのかな?と思いきや、サウンドの風合いから察するに、90年代がど真ん中のようですね。

田中:かなり雑食ではありますけど、完全にその時代が原体験としてありますし、例えばシューゲイザー的なものであったり、そのへんの時代の懐かしさみたいなのはちょっと意識してますね。

--そのなかで「SHADoW」の根底のテーマにあるのが歌謡曲。

田中:あの「伊勢佐木町ブルース」から半世紀経って、今の「伊勢佐木町ブルース」を作ってみたらおもしろいんじゃないかなって──まず、伊勢佐木町ブルースのオマージュみたいなものを作ろうと思ったのは、昔からたまに伊勢佐木町で飲んでたりするっていうこともあるし、縁のある街なんですね。「伊勢佐木町ブルース」って、ちょっとお色気要素のある曲で、男女が慎ましく寄り添う風景が描かれている曲ですよね。街の雰囲気も滲み出ていて、エロティックであり、ムーディーであり、物寂しげでありっていう、それを違う形で再生してみたいなと思ったんですよ。“ムード歌謡”っていう部分はブレさせずに、歌謡曲を作るというよりは、今なりの音であのムードを作ろうと。もちろん、当時の伊勢佐木町のことは知らないですけど、なごりみたいなものはあるので、そういう部分をキャッチしながら。

--当時からあって、いまだに残ってる建物やお店もありますからね。

田中:そうですね。ビデオではあえてそういう場所を選んで撮影しました。

ゴッホの休日 feat. 馬場ふみか
『SHADoW』

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「SHADoW」
伊勢佐木町のリアルな哀愁と色気を表現
1968年に発売され、一世を風靡した青江三奈氏の楽曲「伊勢佐木町ブルース」から約半世紀が経った今、当時の華やかで活気に溢れていた伊勢佐木町、今だからこその哀愁と色気を新たに楽曲として表現しようと、横浜出身/在住のメンバーを集い、伊勢佐木町の今を謡う「伊勢佐木町・ニュー・ブルース」を完成させた。現在の伊勢佐木町を舞台に、街の哀愁と色気を男女の末路に重ねて、「会えない」2人を描いている。

--で、馬場さんをシンガーとしてフィーチャーされたわけですが、これはどういった経緯で?

田中:昭和の歌謡曲が持っている“色香”を現代にアレンジしたときに、誰が当てはまるかなって考えたら馬場ふみかさんに辿り着いた感じなんです。

--それまで面識があったとか?

田中:ぜんぜん(笑)。仲の良い友達が仮面ライダー好きだったっていうこともあって知っていたぐらいで、普通に事務所を通じてお願いしました。公に歌ったことがないっていうのもまたいいなあって。ちょっとした賭けでもありましたけど。

--そんな“賭け”を受けた馬場さんは、お話をいただいていかがでした?

馬場ふみか:仕事で歌を歌うとはまさか思ってなかったので、びっくり(笑)。もちろん、音楽は普通に好きですし、歌うのも好きで、学生時代は友達とよくカラオケに行ってたりしたんですけど、だからといってそれを仕事でやるとは想像しなかったですね。いままで触れたことのない音楽でもありましたし。

--ちなみに、馬場さんのカラオケの十八番は何ですか?

馬場:椎名林檎さんがすごく好きで、あとはCharaさん。今回、Charaさんを意識して歌いました。

田中:馬場さんに歌ってもらえるって決まった時、ヘタでも上手でも、雰囲気さえあればどっちでもいいと思ってたんですけど、めちゃ上手かった。最初に合わせた時、器用にいろいろな歌い方ができそうだなって思ったので、「好きな音楽なんですか?」って訊いたら、Charaさんだっていうことで、Charaさんの大袈裟に抑揚をつけない感じ、ああいうマイルドな感じで歌謡曲を歌ってもらえたら最高だなあって。

--伊勢佐木町のイメージはどう受け取りました?

馬場:そもそもどこにあるのか知らなくて(笑)。お話をいただいてから、「伊勢佐木町ブルース」は何度となく聴きましたけど、実際にビデオの撮影で伊勢佐木町に行くまでなかなかイメージが沸かなかったですね。実際に行ってみて……撮影が夜から朝にかけてということもあったんですけど、コワくてビビりました(笑)。朝になってもいる人がぜんぜん変わらないとか、眠らない街だなって。通い慣れたら好きになるかも(笑)。

田中:「伊勢佐木町ブルース」は聴いたことありました?

馬場:サビはどこかで聴いたこと……ないこともないなって(笑)。知らないながらにも、スナックで歌われているような曲というイメージがありますね。ちゃんと聴いてみて、こういう雰囲気を表現するのはなかなか難しいそうだなあって思いましたけど、実際に出来上がった「SHADoW」は本当に難しいんですよ!

田中:Aメロ~Bメロは典型的なムード歌謡っぽくありつつも、サビではガラッと雰囲気が変わりますからね。途中でキーも変わるし、すごく難しかったと思いますよ。

--実際に歌が乗った時の感想はいかがでした?

田中:いやあ、すごいなあと思いました。リハーサルに3時間ぐらいいただいて、そこでみっちり練習しましょうかっていうことだったんですけど、最初に歌を聴かせてもらった時に、これは1時間で終わるなって思ったぐらい、すごくイメージにハマッてました。で、1時間で終わるって思いつつも、欲が出てきて細かい要望とかお願いをしてたら結局3時間かかって(笑)。

馬場:楽曲のイメージに合わせた歌い方というか、いつもカラオケで歌ってる時のような歌い方とはまた違ったりするので、そういうところを細々と詰めていきました。サビで“会えない会えない”をずっと繰り返してますけど、“会えない”もひとつずつで感情の込め方を微妙に変えたりとか。

田中:究極の“会えない”って何だろう?ってことで、このMusic Videoで表している“会えない”の対象は“もうひとりの自分”なんですね。一見、男女の“会いたい、会えない”のかけひきのように思わせておいて、実は絶対会えない“もうひとりの自分”という。

--まだお若いのに……っていうもヘンですけど、すごく雰囲気や色香、味がある歌声ですよね。馬場さんが歌うっていうことにも驚きでしたけど、まさかここまでイケてるとは!って驚きました。

田中:味がありますよね、馬場さんの歌は。

馬場:自分で聴くのがまだ慣れないですね。自分の歌ってる声ってあまり聴きたくないって思っちゃうじゃないですか。でも、地声が低くて良かったなって思います。キャピッとした声の女の子には歌うのが難しい曲なのかなって思うので。

--ビデオでの役どころは、いかがでした?

馬場:こういう役(スナックのカウンターレディ)はあまりなかったですね。今回は人格の違う“ふみ”と“みか”っていう2人を演じ分けているんですけど、途中、どっちがどっちだかわからなくなってくるんです(笑)。タバコを吸うコと吸わないコ、スマートフォンの画面が割れてものと割れてないものって小道具も使い分けてるんですけど、アレ、次のシーンはどっちだったっけ?って(笑)。でも、最後のほうでお互いが留守電のメッセージを聴いてるっていうシーンがあって、そこはお気に入りですね。あっ、ちゃんと違う人に見えてるわって思いました(笑)。

--今回、ちょっとどころじゃない奇跡のコラボレーションになりましたよね。

田中:すごくハマッて良かったなって思います。これで馬場さんの歌の仕事が多くなったらいいですね。

馬場:ありがとうございます。やっぱり歌は好きなので、歌に関わる作品もいろいろやっていきたいですね。わが家は家族みんなが音楽好きなので、それはそれで家族も喜んでくれるだろうし(笑)。

田中:今回の曲の他にも横浜をテーマにした曲を作りたいなって思ってるんです。横浜というスポットを、マップを眺めて巡ってるようなアルバムを作りたいなって思っていて。それでまた新しい出会いがあるといいなあって思ってるんですけど、馬場さんとはまたご一緒できたらいいですね。

ゴッホの休日

さまざまな日常を五感で表現しながら、新しい音楽のカタチを探る「遊牧型」音楽チーム。
メンバー編成は作品毎に変わる。2012年10月に発足。第1弾として、東急東横線渋谷駅の閉鎖をきっかけに「東横線」をモチーフとしたファースト作品「トレイン」を9月15日にリリース。

http://www.goghnokyujitsu.com/

http://gogh.theshop.jp/about

馬場ふみか

1995年6月21日生まれ。新潟県出身。AB型。身長167cm。
2014年公開の映画『パズル』で女優デビュー。2015年「仮面ライダードライブ」に敵女幹部メディック役で出演し、注目を集める。ノンノモデルとして活動するほか、グラビアにも登場。多くの雑誌の表紙を飾る。今夏、初の主演映画「黒い暴走♡」が公開となり、女優・モデルとして多方面で活躍中。

https://twitter.com/fuuumika_b

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