トップページ 特集 寺嶋由芙 インタビュー

寺嶋由芙 インタビュー

歌謡曲リミテッド スペシャルインタビュー

寺嶋由芙 インタビュー

取材・文/久保田泰平 公開日:2017.03.28

同じ“アイドル”でも、“黄金時代”と呼ばれた70~80年代のそれと、2010年代のそれとでは、性質において異なる部分がたくさんあります。昨今のアイドルにお詳しくない方でも、グループ・アイドルが全盛であることはご存知かと思いますし、主戦場が昔のようにTVではなくライヴハウスというグループが多いなかで、楽曲はダンサブルなものからロック・テイストまで、基本的には現場で盛り上がれるタイプが主流になっているとも言えます。そんななか、“古き良き時代から来ました。まじめなアイドル。まじめにアイドル”をキャッチフレーズに、ソロ・アイドルとしてたくましく活動を続けているのが、ゆっふぃーの愛称で親しまれている寺嶋由芙。ロングの黒髪、笑うとなくなるつぶらな瞳──ファンのことを思いっきり「ヲタク」と呼んだりはするけれど、女の子らしい可憐な佇まいは、ステージに立ってているだけで“古き良き時代”を想起させるもの。ソロゆえに、楽曲もイマドキのアイドルとは一線を画した、良い意味での“ゆるさ”もあり、とくに近作は、80年代アイドルのテイストに寄ったディテールを忍ばせていたりと、当時を知るオジサマたちから“楽曲派”と呼ばれるヲタクからも熱いエールが贈られています。今回、「歌謡曲リミテッド」初登場ということで、ゆっふぃーの基本的なところからお話を伺ってみました!

80年代アイドルのテイストに寄ったディテール

--これまでにインタビューしている歌手のみなさんの顔ぶれを見ておわかりのように、このサイトをご覧になってる方々のなかには、“古き良き時代から来ました”というキャッチフレーズにピピピッと反応する方も多いと思います。そもそもこのフレーズを付けるにあたってどういう背景があったんでしょう?

寺嶋:キャッチフレーズ自体はグループの時から使っていたんですけど、ソロでやっていこうってなった時に、自分がなりたいアイドルのイメージは古き良きアイドルさんから学んだ方が近いんじゃないかと思ったんです。今はグループ・アイドルが全盛で、ソロ・アイドルはあまりいないですし、ソロでステージに立ってるだけでなんとなく当時のソロ・アイドルさんのイメージを重ねてくれる方も多いみたいで、だったらそっちに寄せていこうかなと。

--では、学習の一貫として“古き良きアイドル”に触れたと。

寺嶋:そうですね、そういう部分が大きかったかも知れないです。もちろん、母親はそういったものを聴いて育ってますし、一緒にカラオケに行って聴き知ってはいましたけど、それにすごく憧れてアイドルになったというよりは、自分がやってみたらそっちのほうが合いそうというか、そっちが好きだなって気がついた感じなんです。

--掘り下げていくなかで、好きだなあって思った当時のアイドルは誰でした?

寺嶋:中森明菜さんが好きですね。デビューしたての頃の素朴な感じも好きだし、途中の振り切った感じ?……「DESIRE」とか歌ってらした頃の感じも好きです。あの、絶妙な危うさとかすごく素敵だなって。

--ステージでカヴァーしたり……ということは?

寺嶋:明菜さんの曲はないですね。2月に台湾遠征に出かけた時は、松田聖子さんの「赤いスイートピー」と「天使のウィンク」をカヴァーさせていただきました。私のステージを初めて観る方々ばかりだったので、知ってる曲があったほうがいいかなって。聖子さんは台湾でもすごく有名なんですよね。私が目指すというか、お手本になるのは、たぶん聖子さんのほうかなっていう感じもしますけど、いずれ明菜さんの曲も歌ってみたいです。

--明菜さんの曲を歌うとしたら?

寺嶋:いちばん好きなのは「キャンセル」という曲なんですけど、それは母親の影響で覚えました。セクシーな大人系って私のキャラ的にはそっち方向ではないんですけど、いつかステージで挑戦してみたいですね。

--古き良きアイドルの世界観に触れいくなかで、なにか発見みたいなものはありました?

寺嶋:振り付けの特徴ですね。顔まわりの動きが可愛いんですよ、当時のアイドルさんって。コンサート映像とかも観るんですけど、TV番組の映像とか観てると顔のアップが多くて、顔まわりの可愛い手振りと、寄りに耐えうる可愛さにときめきます(笑)。髪型が似ているということで、私を応援してくださる方のなかに麻丘めぐみさんが好きだったっていうオジサマがいらっしゃるんですけど、麻丘さんの「私の彼は左きき」の振り付けなんてまさにですよね。そういう感じを自分の振り付けにも取り入れていきたいなって思って、「ふへへへへへへへ大作戦」の時に指で「へ」の形を顔の横で作ったりしています。当時のアイドルさんの振り付けは印象に残りやすくて真似しやすいっていうのが特徴としてあると思うので、そこは私も大事にしたいですね。あとは、当時の親衛隊の方々で掛け声がすごいじゃないですか。あの気持ち良さ?(笑)。

--今のアイドルのコールやヲタ芸とは趣きが違いますよね。

寺嶋:グループ・アイドルの場合、ほかのメンバー推しのヲタクに負けないぞみたいな、そのぶつかり合いの楽しさもあったりしますけど、それがソロだと全員同じ人に対して声を出してるので、その一体感というか、それはもうピースフルですよね。グループ・アイドルのコールは「次は○○ちゃんのパートだからサイリュウムの色を替えなきゃ」とか頭を使うものも多いですし、メンバーの名前も全部覚えなきゃいけなかったり……その点、ソロ・アイドルはかなり初心者向けなんじゃないかとも思います。

--やってる側としてはグループよりたいへんなことも多いですよね?

寺嶋:“○○担当”っていうのがないので、可愛い担当とか元気担当とかセクシー担当とかひとりでやらなきゃいけないっていうのはあるけれど、それはそれで楽しいし、曲ごとにぜんぜん違うものをやらせていただけるのはお得だなあって思います。もちろん芯にひとつ大事なものを持ってなきゃいけないと思いますけど、固定のイメージに縛られない。キャラが和風じゃないから演歌はナシだなとかそういうのもないですし、ラジオとかインタビューもひとりで受けられるから、それはすごくうれしいです。

--いわゆる着せ替え人形的な楽しさというか。

寺嶋:だからこそ「えー、あのコがそんなことを!」ていうおもしろさにも繋がるし、王道なものをやればそれはそれで「イイよね!」ってなるし、っていう元になるイメージを大事にしながらいろいろやっていきたいなって思ってます。

--ソロでステージに立ってるだけで古き良きアイドル……ってそもそもの話に戻りますが、たしかに由芙さんがソロになって最初の頃に発表していた曲は、サウンド面で“古き良き”な感じはあまり露骨に出してないですよね。

寺嶋:そうですね。「ふへへへへへへへ大作戦」(2015年5月リリースのシングル)を出した時に、それをようやく意識した感じですね。その前に、会場限定盤として出した『好きがはじまるII』というCDのなかに「恋人だったの」(※)っていう思いっきり80年代テイストというか、歌謡曲って感じの曲を実験的にやって、「ふへへへへへへへ大作戦」で聖子さん風じゃないですけど、当時のアイドルみたいなものを入れていこうって。作り手の方々も楽しんでやっていただけていた感じだったので、それはうれしく思いましたし、私もこういうのが好きだなって改めて思いました。
(※「ふへへへへへへへ大作戦」のカップリングにもライヴ・ヴァージョンが収録されている)

--由芙さんのキャラクターも、そういったテイストに相応しくなっていったということでしょうか。

寺嶋:どうなんでしょうか(笑)。それまでのシングルが手探りで、デビュー曲の「#ゆーふらいと」がイイコそうな曲だったから、次は大人っぽい感じにしようって「カンパニュラの憂鬱」、今度はそれを裏切って「猫になりたい!」って、前と比べてどうだったかっていう基準で作ってきたのが、「ふへへへへへへへ大作戦」のタイミングから、プロデューサーである加茂(啓太郎)さんがやりたいこともそうだし、私がやりたいことも、誰と一緒に作りたいかっていうことも一気に詰め込んでみたっていう。

寺嶋由芙
『天使のテレパシー』

初回限定盤A
TECI-548 / ¥1,500+税 シングルCD+DVD
amazonで購入する

[CD]
1.天使のテレパシー
2.みどりの黒髪
3.天使のテレパシー off vocal
4.みどりの黒髪 off vocal
[DVD]
『天使のテレパシー』Music Video
『天使のテレパシー』メイキング映像 前編)

初回限定盤B
TECI-549 / ¥1,500+税
シングルCD+DVD
amazonで購入する

[CD]
1.天使のテレパシー
2.終点、ワ・タ・シ。
3.天使のテレパシー off vocal
4.終点、ワ・タ・シ。 off vocal
[DVD]
『終点、ワ・タ・シ。』Music Video
『天使のテレパシー』メイキング映像 後編

通常盤
TECI-550 / 定価:¥1,167+税 シングルCD
amazonで購入する

[CD]
1.天使のテレパシー
2.終点、ワ・タ・シ。
3.みどりの黒髪
4.天使のテレパシー off vocal
5.終点、ワ・タ・シ。 off vocal
6.みどりの黒髪 off vocal

--そこで今回のシングル「天使のテレパシー」ですが、表題曲はまさに!……なピュアなアイドル・ポップになりました。サウンドのディテールもメロディーの雰囲気も、古き良きアイドルのテイストが散りばめられています。

寺嶋:初めてデモを聴かせていただいた時から全部好きです。《ピピッピッピ》っていう歌詞も絶妙だなあって思います。古臭い響きのようでいて、なんとなく新しい感じがして。古き良きアイドル像を現代でやってますよっていうオマージュ感というか、それがすごく伝わる歌詞をいただけたなあって思います。ちょっとぶりっ子すぎてはいないだろうかと、衣装も含めドキドキしてますけど(笑)、こういうのを早めにやっておかないとどんどん年も取るので(笑)。

--作編曲を手掛けられた宮野弦士さんは、まだ20代前半のコンポーザーということで、若さなりのバランス感覚も絶妙です。

寺嶋:ディレクションの時に宮野さんに言われたのは、はねて可愛く歌うよりも、なめらかにメロディーをつなげる感じで歌ってくださいって。たしかに、そこを意識するとぶりぶりすぎないというか、ちょっと大人の余裕が生まれるという。やはり、作家さんがディレクションに来てくださるのは大きくて、言葉を区切るタイミングとかも「なるほど!」と思うことがありますし、すごくありがたいですね。

--カップリングの「終点、ワ・タ・シ。」はズバリ演歌ですね。もちろん、これまで歌ったことがないジャンルだと思いますが。

寺嶋:まず、こぶしを回すっていうことについてはまったくの初心者なので、「そこの母音はもっと強く歌ったほうがいい」とか細かなディレクションをいただきながら、ものすごく気持ちを込めて歌いました。あと、一番と二番ではちょっと気持ちの入れ方を変えてみたりとか、ド演歌なので大袈裟なぐらい振り切ったほうがおもしろいし、そのほうが伝わるだろうなって。とにかく、詞と曲を作ってくださった町あかりさんがデモで歌っていた仮歌がものすごく素敵だったで、なるべくその雰囲気を出せるように頑張りました。

--町さんも、こういった演歌はそんなに歌ってきてははないですよね。

寺嶋:町さんも“ザ・演歌”っていうのを書くのは初めてだったそうですけど、演歌をたくさん書かれている先生方にお願いするよりも、同じ年で、アイドル活動についても古き良き音楽についてもわかってらっしゃる町さんにお願いして良かったなって思います。歌詞もユーモラスですしね。恋しい人を待つ幸薄い女性の歌のようにも見せかけて、アイドル現場の、アイドルとヲタクのあれこれを歌ってるという(笑。ライヴの時、ちょっとうしろめたいことがあるヲタクは目を逸らしながら聴いてます(笑)。

--イントロから目立っている津軽三味線は、キラキラシャミセニストの川嶋志乃舞さんで。

寺嶋:志乃舞ちゃんとは前から何度もお会いしてて、私の自主企画に出ていただいたこともあったんです。ようやくコラボっていう形で共演することだできました。

--こういう曲ができると、普段は行かないような場所でリリース・イヴェントとかできそうですね。

寺嶋:そうですね! 浅草とか巣鴨とか。アイドル・ソングはよく知らないんだけどっていう人にも気付いてもらえるきっかけになる、そういう曲になったらいいなって思います。

--カップリングとはいえ、初回限定盤Bではあたかも表題曲のように思いっきりジャケットになってますし、和服も似合ってます。

寺嶋:へへへ。

--今回のシングルが、2017年第1弾ということになりますけど、今年はなにか大きな野望があったりするんですか?

寺嶋:そうですね、一年を通して寺嶋由芙というキャラクターを固めていけたらいいかなって自分では思っています。昨年、レーベルと事務所を移籍して心機一転ということもありますし、今回の「天使のテレパシー」がキャッチーで可愛い曲ということもありますし、何の気なしに使い始めた“古き良き時代から来ました”っていうキャッチフレーズに引っ張られて、ようやくそれに相応しい寺嶋由芙像が出来上がってきたので、そこをより強く。

--いずれ映画とかTVドラマにも出て欲しいです!

寺嶋:たとえばどんなのがいいですか?

--由芙さんがヒロインなんだけど、最後は死んじゃう。山口百恵が出ていたTVドラマや松田聖子の主演映画みたいな。

寺嶋:ふんふん。

--なんか、物語の後半はせつない表情ばかりになっていく感じで。

寺嶋:ああ、たしかにいままで切ない路線とかってそんなに見せてなかったですね。失恋ソングもなかったですし。うん、そういうのやってみたいです! これまでの寺嶋由芙像は、自分で意識して作ってきたところももちろんありますけど、作家の方々やヲタクの人たちが広げて、作ってきた感もがあるので、いろいろな意見を吟味しながら、たまに裏切っておもしろくしつつ、これだっていう形ができたら良いかなって思います!

寺嶋由芙

幼少期からジャズダンスを習い、中学では演劇部、高校ではアコースティックギター部に所属。2013年に講談社主催「ミスiD 2014」において一般投票で1位を獲得し、「ミスiD 2014」、「アマテラス特別賞」をダブル受賞。2014年3月、早稲田大学文学部 日本語日本文学コース専攻を卒業(中学校教諭ならびに高等学校教諭一種免許状[国語]取得)。現在、大好きな「アイドル」そして「ゆるキャラ」を繋ぐ「ゆるドル」になるべく活動中。

オフィシャルサイト

昭和の歌謡曲に感謝を込めた音楽の祭典開催『歌謡選抜フェスティバルvol.1』。9月2日(土)新宿LOFTで開催

『東京レコード散歩』2017年2月22日発売。東京にちなんだ曲だけを収録したコンピレーション・アルバム『東京レコード散歩』第二弾がレコード会社3社から同時発売!

原田真二 提携グッズサイト『Feel Happy』音楽制作、ライブ活動、チャリティ事業を積極的に行い、2017年にはデビュー40周年を迎える原田真二との提携グッズサイトが「Feel Happy」。魅力的なオリジナル・グッズを提供していきます。

岩崎宏美 ONLINE SHOP 昭和51年1月に発売された『近代映画ハロー新春号 岩崎宏美 集』の全ページに、平成28年最新インタビューを追加した、特別復刻プレミア豪華版。

大場久美子 DELUXE BOOK トップアイドル時代の大場久美子の『近代映画』記事、グラビアを復刻!

ラジオ歌謡選抜

CDJournal

TWITTER

  • now loading...

disk union 昭和歌謡館