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第45回放送 特集「作編曲家・大村雅朗の軌跡」

第45回放送 特集「作編曲家・大村雅朗の軌跡」

<2019.9.15OA>

オーガナイザー:濱口英樹(歌謡曲愛好家) 

9月は初の作品集『作編曲家 大村雅朗の軌跡1976-1997』(CD4枚組)が9月25日にリリースされる大村雅朗さんの世界をお楽しみいただきました。
1951年、福岡市で生まれた大村さんは76年、25歳でプロの編曲家としてデビュー。革新的なサウンドで注目され、瞬く間に「みずいろの雨」(八神純子/78年)、「SACHIKO」(ばんばひろふみ/79年)、「青い珊瑚礁」(松田聖子/80年)など、大ヒットを連発します。その後も約1600曲のアレンジを手がける一方、作曲家としても松田聖子「SWEET MEMORIES」(83年)を筆頭に数々の傑作を残しますが、97年に病気のため46歳の若さで帰らぬ人となりました。
その大村さんの功績や作品の魅力を検証するため、ゲストにお迎えしたのは今回のCD-BOXを監修された梶田昌史さんです。1971年生まれの梶田さんは中学生の頃、ドラマーの島村英二さんとの出会いを機に、多くのスタジオミュージシャン、アレンジャーと親交を深め、プレイヤー視点での楽曲研究に没頭。2016年に『ニッポンの編曲家 歌謡曲/ニューミュージック時代を支えたアレンジャーたち』(DU BOOKS)、2017年に『作編曲家 大村雅朗の軌跡1951-1997』を共著者として上梓されています。今回は各楽曲に関する解説のほか、9月21日(土)にFBS(福岡放送)でON AIRされる開局50周年記念特番『風の譜~福岡が生んだ伝説の編曲家 大村雅朗~』の内容についてもお話を伺いました。


01.「みずいろの雨」八神純子(1978)
作詞:三浦徳子 作曲:八神純子 編曲:大村雅朗
72年、ネム音楽院(83年“ヤマハ音楽院”に改称)を卒業した大村さんは、ヤマハ音楽振興会九州支部勤務を経て78年春に上京。すぐに頭角を現し、レモンパイ「狂気の太陽」(78年6月)で初のオリコンTOP100入り、9月発売の本作で初のTOP10入りを果たします。躍動感に満ちたラテンサウンドが印象的な本作は島村英二(Dr)、後藤次利(Ba)、松原正樹(Gt)、TOMATOグループ(Str)が演奏。オリコン2位まで上昇し、八神純子にとっても出世作となりました。大村さんはその後も「想い出のスクリーン」「ポーラー・スター」「パープル・タウン」「Mr.ブルー」など、数多くの八神作品のアレンジを手がけています。

BGM.「くるみ割り人形」石川ひとみ(1978)
作詞:三浦徳子 作曲:馬飼野康二 編曲:大村雅朗
渡辺プロダクション肝煎りの大型新人としてデビューした石川ひとみの2ndシングル。当時、渡辺プロの制作担当だった大輪茂男から「チャイコフスキーのイメージで」という発注を受けた大村さんは、ロシア風のサウンドを構築し、その期待に応えます。オリコン42位をマークした本作は初期の石川を代表する楽曲となりました。今回のBOXには「らぶ・とりーとめんと」(3rdシングル「あざやかな微笑」B面)も収録されています。

02.「UNバランス(アルバム・バージョン)」河合奈保子(1983)
作詞:売野雅勇 作曲:筒美京平 編曲:大村雅朗
ゲストの梶田さんは中学時代、YMOに心酔。彼らが掲載されている雑誌の記事から、松武秀樹(シンセサイザープログラマーとしてYMOに参加)がアイドルポップスの制作にも関わっていることを知り、同じ頃、貸レコード屋で手にした河合奈保子のアルバム『HALF SHADOW』(83年)で松武のクレジットを発見したことをきっかけにスタジオミュージシャンに興味を持つようになったといいます。その『HALF SHADOW』に収録された本作は先行シングルとしてオリコン4位のヒットを記録。今回はアルバム・バージョンをお届けしました。演奏は島村英二(Dr)、富倉安生(Ba)、松原正樹(Gt)、山田秀俊(Key)、松武秀樹(Syn)、数原 晋・荒木敏男(Tp)、Eve(Cho)が担当しています。

BGM.「きみの朝」岸田智史(1979)
作詞:岡本おさみ 作曲:岸田智史 編曲:大村雅朗
76年にデビューした岸田智史(現・岸田敏志)の8thシングル。岸田自身が出演した連続ドラマ『愛と喝采と』(TBS系)の劇中歌として注目され、オリコン1位の大ヒットとなりました。大村さんにとって初の首位獲得曲であり、この年の編曲家ランキングでは3位をマーク。ヤマハ出身の先輩アレンジャーである萩田光雄、船山基紀と並ぶヒットメーカーとして、この年以降、年間150~200曲の驚異的な仕事量をこなしていくことになります。


03.「そよ風はペパーミント」岡田有希子(1984)
作詞:田口 俊 作曲・編曲:大村雅朗
編曲家としてだけでなく、作曲家としても非凡な才能を発揮した大村さんですが、梶田さんは「メロ先(詞よりもメロディを先に作る手法)にも関わらず、どんな詞がつくかが予め分かっているような曲が多い。それはアーティストの世界観を十分理解したうえで、その良さを引き出す曲づくりをしていたからではないか」と分析しています。その梶田さんがセレクトした本作は岡田有希子のデビューシングル「ファースト・デイト」のカップリング曲。松原正樹が奏でるギターの音色と、岡田のキャラクターを最大限生かした透明感のある曲調が魅力的な作品です。

04. 「月光‐つきあかり‐」MEGU(1988)
作詞:浅丘智子 作曲・編曲:大村雅朗
88年に連続ドラマ『オレの妹急上昇』(フジテレビ系)の主題歌「Bye Bye School Girl」でデビューしたMEGUの1stアルバム『MAKE YOU No.1』に収録されたバラード。梶田さんいわく、大村さんの繊細な内面性が反映されたような楽曲で、富樫春生のピアノと松武秀樹のシンセサイザーが織りなす幻想的なサウンドと、比山貴咏史・木戸やすひろによる清涼感溢れるコーラスが聴きどころです。

BGM.「アンジェリーナ」佐野元春(1980)
作詞・作曲:佐野元春 編曲:大村雅朗
松田聖子に代表されるアイドルポップスで卓越した手腕を見せた大村さんは、その一方でシンガーソングライターも数多く担当。80年代にロック系の新人アーティストを輩出したEPIC・ソニーではプロデューサーの小坂洋二に重用され「EPIC黄金時代」に貢献しました。同レーベルの先頭ランナーといえる佐野元春のプロジェクトでは、デビュー曲の本作や、4thシングル「SOMEDAY」のストリングスアレンジなどを手がけています。

05.「そして僕は途方に暮れる」大沢誉志幸(1984)
作詞:銀色夏生 作曲:大沢誉志幸 編曲:大村雅朗
小坂洋二に才能を見出された大沢誉志幸(現・大澤誉志幸)は83年にEPICからソロデビュー。3rdアルバム『CONFUSION』(84年)からアレンジを変えてリカットされた本作は日清食品カップヌードルのCMに起用され、オリコン最高6位のヒットを記録しました。大村さんは大沢の初期アルバム3作や10thアルバム『NAIV』(92年)の収録曲のほか、大沢が他のアーティストに提供した「晴れのちBLUE BOY」(沢田研二/83年)や「LA VIE EN ROSE」(吉川晃司/84年)の編曲を担当。♪レレ・レレレレミ~のリフのフレーズが印象的なサウンドは、トンプソン・ツインズを意識して生まれたといいます。

06.「格好悪いふられ方」大江千里(1991)
作詞・作曲:大江千里 編曲:大村雅朗
83年にEPICからデビューした大江千里は、大村さんが編曲家として最も多くの作品でタッグを組んだ作曲家(大村さん自身の作曲作品は除く)。アルバムでは5th『AVEC』(86年)、6th『OLYMPIC』(87年)、7th『1234』(88年)の全曲のほか、10th『HOMME』(91年)、11th『六甲おろしふいた』(92年)でも複数の収録曲のアレンジを手がけています。大江自身も出演した連続ドラマ『結婚したい男たち』(TBS系)の主題歌に起用された本作はオリコン2位をマークする、コンビ最大のヒット曲となりました。

BGM.「My Revolution」渡辺美里(1986)
作詞:川村真澄 作曲:小室哲哉 編曲:大村雅朗
85年に19歳でEPICからデビューした渡辺美里の4thシングル。連続ドラマ『セーラー服通り』(TBS系)の主題歌としてオリコン1位を獲得し、渡辺にとっても、作曲を担当した小室哲哉にとっても、出世作となりました。大村さんは本作で初めて渡辺美里プロジェクトに参加。転調を多用した癖のある小室の楽曲を聴きやすいサウンドに仕上げ、以後、2ndアルバム『Lovin’ You』(86年)の全曲のほか、「Teenage Walk」(86年)、「BELIEVE」(86年)、「夏が来た!」(91年)、「My Revolution‐第2章‐」(92年)など、数多のヒットシングルの編曲を手がけました。

07.「メランコリーの軌跡」松永夏代子(1986)
作詞:銀色夏生 作曲:玉置浩二 編曲:大村雅朗
打ち込みが主流となった80年代後半、大村さんのサウンドは無駄を削ぎ落としたシンプルなものへと変化。3年間の米国在住を経て帰国した90年代以降はその傾向がさらに顕著となり、アイドルよりもシンガーソングライターを手がけることが増えていきます。本作はその頃の作品で梶田さんがセレクトした松永夏代子のデビュー曲。劇場版アニメ『うる星やつら4 ラム・ザ・フォーエバー』の主題歌に起用され、オリコン最高40位のスマッシュヒットを記録しました。島村英二(Dr)、高水健司(Ba)、松原正樹(Gt)という大村組常連のミュージシャンによる、楽曲と一体化した「泣ける演奏」が聴きどころです。

08.「水のルージュ」小泉今日子(1987)
作詞:松本 隆 作曲:筒美京平 編曲:大村雅朗
80年代後半以降の大村作品から梶田さんがセレクトした本作は小泉今日子の21stシングル。小泉自身が出演したカネボウ化粧品’87春の口紅“AQUA ROUGE”のイメージソングに起用され、オリコン1位を獲得しました。本作のディレクターは田村充義、エンジニアは高田英男、マニピュレーターは迫田 到。梶田さんいわく、高水健司(Ba)のスラップ、松原正樹(Gt)のカッティング、間奏で聴かせる富樫春生のシンセなど、当時最高峰の演奏が揃った最強の楽曲です。

09.「SWEET MEMORIES」松田聖子(1983)
作詞:松本 隆 作曲・編曲:大村雅朗
海外のアーティストにもカバーされるなど、今では国境を越えたスタンダードナンバーになっている大村さんの代表作。もともと14thシングル「ガラスの林檎」のB面曲でしたが、サントリーCANビールのCMソングとして人気を集めたことから両A面扱いとなり、オリコン1位に返り咲く大ヒットとなりました。大村さんはブルーノートを使って、それまでの松田聖子にはないジャジーな楽曲を提供。松武秀樹(Syn)によるイントロ、山田秀俊(Key)の多重コーラス、「King of Sax」と称されるジェイク・コンセプションのソロなど、素晴らしいサウンドにも注目です。

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